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第31話 喧騒

 

 

 



5階の魔物、ピッグタートル。


ビッグではなくピッグである。豚亀。





5階にたどり着いてすぐ響く打撃音。


しかもそれが無数に響き渡っている。


ガンガン、ガンガンともーう非常にうるさい。


確かに鍛冶場と呼ばれるだけはある。



しかしそれとは別に。


何十人もの奇異の視線が最低にウルサイんだよ。



ピッグタートルはとにかく硬いのが特徴の魔物。


その硬さは岩にも等しいという話である。


しかし反面、攻撃力は控えめで。


この狩場ではまず人が死ぬようなことは起きない。



では、この狩場はうまい狩場なのか?っときかれると、


ある種類の人にはうまく。


ある種類の人にはうまくないといえる。



つまるところ、この5階は1階の広場と同じなのだ。



クラスランクが低い人間は、誰もがレベルを上げても殆どステータスがあがらない。


例えば村人FがレベルがあがるとHPが1か2上がるとして。


これ以上なくレベルあげに時間をうちこんでも、レベル1の時と変わるのはHPの最大値のみ。


それ以外は最高に運がよければ何かの値が1上がるという程度のものである。



そんなことが背景にあるから才能が低ランクの場合、


頑張って経験を増やすよりも、安全確実な狩りこそが最も望まれる対象なのだ。


そして人間の中でも比較的大多数のその低ランクの存在に対し、


それを実現する狩場が非常に少ないという現実がある。



結果としてその低ランク用狩場は低ランクの人間で飽和し、そしてその狩場に運良く残った中ですら獲物の取り合いでまた争いが起こる。



いや、ホントに美味い狩場だわ。


なにしろいくらでも安全に狩れるのだから。


そのくせ結構金になるというのだからたまらない。


おまけに助け合うという人間性を捨てることまで簡単に出来る素晴らしい狩場だわ。


そう……簡単に。


こんな言葉使いたくないけどホント糞ったれだ。






俺は無心で、いや無心になるように、


奇異と敵意の視線をいくつも受けながら5階を歩きまわる。



5階には本当に多くの人がひしめきあっていた。


その雰囲気から判断すれば、



元々人と争うことが非常に大好きな人────


自分は働かずお零れを得ようと必死な人────


ただ多くの他人と同じことをすれば正しいと断定し何も考えず狩っている人────


そして疑問を持ちながらもどうしてもここで狩らざるをえない守るものを持っている人────





そうして6階への階段と4階への階段の連絡を確認してから──



多分俺が狩ることはもう永久に無いであろう場を後にした。





 


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