第30話 乞食
掘る! 掘る! 掘る!
落ち葉や細かい枯れ木をかける! かける!
粘土のでっかいボールを綺麗に並べて置く(今回は七つ用意しました)
更に上にも落ち葉や細かい枯れ木をいっぱいかける!
後は火をつけて3時間ぐらい待つだけ!
今、街の郊外の河の近く。
幼女神様と水遊びに来ています。
まあ他にも色々遊び道具持ってきていますが。
今日は人間バージョンです。
ちなみに俺が細工師の能力を活用してつくった、花染めのピンクっぽい色のローブを着せています。
「えへへ~」
そんな無邪気な顔で笑いながら水をかけてくるのはやめてくれませんか……
っていうか。
幼女神様、さも当然のように水の上を歩かないでください!
あ、もうわかってる人はわかってるはずですが。
粘土のボールは乞食鶏です。別名富貴鶏ともいうけど。
でも俺は富貴鶏の名前は認めません。
カッコいいじゃないですか、乞食鶏という名前は。
富貴鶏とか自分でお金持ちだとか言っちゃう恥ずかしい人みたいです。
むしろ乞食と自分で言えるすがすがしさこそ値千金。
乞食のニュアンスがある料理が、こんなにも旨い。
その落差が特に別の意味で味があると感じさせるのである。
この風情は非常に日本的精神だと呼べるだろう。
「ま~だ~?」
「ええ、まだです」
「もーいい~?」
「まだです……」
(もう2時間は経ってるし、ひとつぐらい味見してもいいかな。案外火が完全に通るよりもジューシーに仕上がっているかもしれん)
「おーにいちゃん、まあだあ~?」
「うーん、じゃあもういいですよ。1個だけですが」
完全に猛々としていた火が消えて熾火状態の灰の中からシャベルを使ってひとつを掘り出す。
「さて、お嬢様。割りますか、割りませんか?」
「割る~」
差し出したトンカチを手に取る幼女神様。
(ちょっと心配だなあ、割れないならいいけど爆散してクレーターとか出来たらどうしよう……スペックがまったくの計算不能!)
「えい!」
おお。見事ですお嬢様。心配不要でしたね。
早速まわりの粘土と包んだ葉っぱを除いて切り分けて器に取る。
「はむっ」
後はこの鶏がらスープも用意して……これは半分ほど食べた後、器にかけて味や食感に変化を出して流し込むために用意した。
「もう食べてるんですね。では俺も」
「お~いし~い~」
「いや、まだ熱いですって。アツっ」
お嬢様はたくましく育っておられます……俺よりも。




