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第29話 回避

 

 

 


「いらっしゃい。いつものかしら?」


「ええ、お願いします」


綺麗なお姉さんの道具屋。


初回は失態をしたが、まあ別に気にせず何も無かったように利用している。


あくまで知らぬ存じぬで押し通した。



いつものっというのはガキらに渡すポーションを俺がさも使ってるように偽装している奴だ。



俺はついでに、何か事前に用意しておいたほうがよい物、いずれ使うものが無いかと店内を物色する。


そうしていると何故かいつもとは違い、お姉さんの視線を妙に感じる。


特に嫌な感じのものではないので放っておいたが。





「はい、ポーション10個で1万ルトよ」


一万ルトを支払い商品を受け取ろうとする俺。


そこで違和感を感じ、素早く商品を奪い取り、身を引く。


残されたのはお姉さんの両手。


俺の手を下から握ろうとするのを見事にかわした姿になった。


それはもうスカッと。


スカッと。



「私の握手攻撃をかわすとは……やるわね」


「攻撃ですか」


物騒な。まあ確かに健全な男には攻撃力が高そうだが。



「う~ん」


「どうかしました?」


「なにかもう、最初に来たときとは随分雰囲気が違って落ち着いて見えるけど何かあったの?」


「いえ、別に……」



(あの深夜の1階の広場を見て、この街と住人に早くも失望したからだろうな。まあ俺の女性への態度はもともとどうでもいい気分任せだが)



「まったく男の子はすぐ成長するのね。お姉さん嬉しいやら悲しいやら」


「…………」


「またいらっしゃい」


「ええ」





あ、ちなみに子猫様は俺の上着に縫いつけたポケットの中に寝て居る。


細工師のクラスのせいか無駄に綺麗に仕上がったポッケの中に。


最近は寝ることが多くなった気がする。


食欲はいつも通り旺盛だけど。





 


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