第27話 駆引
「シッ!」
キングコブラのように上体を起こして、
ゆらゆらと攻撃のチャンスを狙う〈オロチピール〉の懐に無造作に飛び込む。
オロチは4階の魔物で大型の蛇系統の姿をしている。
咬まれると時々毒状態になるという嫌な敵だ。
だが、攻撃が来ることがほぼわかっているから対処はできる。
ボクシングで言うパーリングの応用、
ビンタのような感じで一回だけ攻撃を反らせば後は簡単、
首に近い部分を掴みこんで締め上げ、胴体には体重を込めたキックを食らわしまくって終わり。
が、タイミングを見誤れば当然大打撃を受ける。
更に毒にかかる可能性もあるシビアな敵。
「パープルウルフよりも厄介だなー。リズム良く狩れないし」
この敵は攻撃態勢のときは足が動かないから攻撃範囲が狭い分、その攻撃は非常に鋭い。
その見極めに神経を使うので、パープルウルフの時のように狩場を縦横無尽に駆け巡ることは出来ない。
それにここにはたまに剣を使って狩りをしている人も居て、目立ちたくない、邪魔されたくない、見られたくない俺にはどうにも美味しくは無い狩場だ。
それと何故見た目剣士が多いのかというと、こいつらは剣で狩るのが比較的楽だからだ。
なにしろ交戦時は、オロチはまるで上に向かってまっすぐ立っている棒のようなもの。
攻撃時も結局は胴体ごとくるので、剣で立ち木を断つように振れば、迫り来るオロチの頭を妨害する形にもなる。
剣士からすればオロチの首が攻撃範囲に突っ込んでくるようなものだから、例えアタマが迫ってきてもオタオタする必要も無いわけだ。
しかし剣士に良いことばかりでもなく、こいつらは鱗が硬い。
そこで、実力不足であるとうまく切れずに逆に競り負けて、咬まれた挙句全身に絡みつかれて締め上げられて命を失う。
一度だけ人が飲み込まれていくのを見たことがあるのだが筆舌に尽くしがたい光景だった。
そこまではいかないにしてもこの街では冒険者が大金を稼ぐことでその関連する武器類も当然高くなり、研ぎなおしにもまたそれなりの金がかかる。
何事もそううまくはいかないということだ。
(パープルウルフは楽なんだけど、あいつらだけ狩っていると格闘というよりも蹴鞠に近くて。敵との交戦時のタイミングをとる、避けるという基本的な駆け引きの能力が育たないというか勘が鈍るというか)
蹴りを叩き込みまくってぐったりとなったオロチの後頭部のふくらみ。
まるで咽喉仏のように盛り上がったそこをぐいっと掴んで、身体能力任せでもぎりとると、
中から艶やかな瑠璃色の球体があらわれる。
それを手馴れた感じで核用袋へとポイっと投げ入れ、次の獲物に移る。
敵はまばらだがそれなりに広い狩場で他の人との接触を避けながらちゃくちゃくと狩っていく。
これで50といったところか。
後100ほど狩っておしまいにするか。
そう言えば次は5階、買取のおっちゃんが言ってた鍛冶場とやらか。




