第26話 魔改
「う~ん。高いっ!」
「こらこら。商売の邪魔しちゃだめでしょ」
ダンジョン街の片隅。
例の魔道具屋の前で俺はくだを巻いていた。道具屋ではなく。
「これを1ルトにまけてください……」
捨てられた子犬のようなつぶらな瞳をキラキラと輝かせて、俺としては控えめなお願いを店主のお姉さん(フードで顔はわからない)にしてみる。
あ、元の値段はちなみに100万ルトだ。あくまで元。
「1ルトだけならまけてもいいわよ?」
なんというかこのお姉さん、どことなく感じが良くて話しやすい。
「安い中古品とかはありません?」
「無いわねー」
「ガックシ」
そもそも魔道具は王都の魔道研究院での専売で、許可を得た店舗以外での販売は厳重に禁止されている。らしい。
中古も外装をかえれば簡単に新品になるらしいし。
新品と同じ値段で売れるのにわざわざ中古品と告げる必要はない。
技術隠蔽で専売。なんともまああからさまな。
だがそれはそれでよい。
技術は学んで、見て、盗んでこそ華!
店内でも一番目立つ正面真上の壁に、大きな魔道具特有の文様が描かれた剣が飾ってあり、俺はボーっとその剣に目を奪われる。
「魔剣かー」
「1500万ルトよ。買うの?」
……買えるわけがないじゃないですか。
しかしお姉さんは何故か尻尾を振るような、今にも買うのを期待してるような喜びの反応を見せてくる。
まあ確かにこれが売れれば貴方はボロ儲けだとは思いますがね。
「何か、あなたは魔道具が欲しいというより、魔道具が純粋に好きって感じよね」
そりゃそーですよ。理系人間舐めたらいけません。
「魔道具の魔改造とか萌えるじゃないですか」
「魔改造って……なんとなく意味はわかるけど、不穏な響き。よいわ~」
あんたのほうが不穏だよ。ミステリアスというより怪しいいいいいい雰囲気発散してるんだぜ。しってたかい?
「よおし、おねえちゃん、ボクちゃんのこと気に入っちゃったわ。この本を貸してあげる」
「本?」
手にしているのはすこし古ぼけた感じの、カバーに金の装飾が入った分厚い本だ。
「〈基礎魔道具概要〉、古典的な魔道具に関する名著よ。わたしが若いときに勉強のために使っていた本ね」
「おおおー。魔道具に関する本って初めて見ました……」
「……それはそうよ。市販すらされていないんだから」
「へえ……」
魔道具関連本は市販品じゃない?
何か裏がありそうだな。
まあなんにせよ、貴重な本ってのはわかった。
大事に扱うとするか。
いや、ここはあくまで、使い倒す気で扱おう。
それが本当の意味での大事にするってことだから……
これも錬金術師や細工師クラスのお導き。
ありがたく運命を受け取ろう。うんうん。
ぴこーん!
主人公が〈魔改造への招待 魔道具改造講座〉を手に入れた!




