第23話 連打
「百の神の慈悲と千の眷属の業が我が手に宿る。〈マイナーヒール〉」
「百の神の慈悲と千の眷属の業が我が手に宿る。〈マイナーヒール〉」
「百の神の慈悲と千の眷属の業が我が手に宿る。〈マイナーヒール〉」
小ヒール連打である。
MMOとかRPGとかだと燃費がいいから安定性重視で使ったりするんだけど。
きつい一撃食らった後にうまく入ればかなーり助かるんだよな。
まさか現実で使うとは。
治癒師のクラスについてから、まあまあの頭数を狩ったのでレベルは上がっててMPも増えているとは思ってたけど、もう10回はかけてるのに切れる様子はない。
MP上昇量などのステータス上昇量はクラスランク(村人FだったらFの部分)によるところが多いので、もしかして俺案外高めのランクなのか。治癒師ってだけでも大事なのに高ランクとか実感わかないが……
幼女神様さまさまだな。
今回置いてきちゃったけど。
「もう顔色は大分良くなった。で、ちと聴きたいんだがこの症状はいつからなんだ? 今まで対処はどうしてた?」
巨乳もといチビ猫耳とイケメンは俺に対する態度を改めた!
さっきから俺へと向ける雰囲気が変化しているのだ。
治癒師のネームバリューすげえ!っと言いたいけど、まあこういうのはその場のノリだ。
ガキはすぐ忘れて調子に乗り出すのは、がきんちょ相手に慣れてる人なら周知の事実だし油断はしない。
「えっと、おかーさん半年前ぐらいからご飯あんまり食べなくなって。時々ポーションを使ってたけど、少し良くなって、またすぐ悪くなって……」
「つまり栄養すら取っていなかったと。ポーションも道具屋の一番安いポーションだろ?」
「うん。あ、はい……」
と言うことは、
栄養失調の気もあるが、
旦那さんが亡くなって生きる気力を失っているとか?
おまけにお金も充分に稼げない生活に悲観して、それが体調にまで反映してると。
他の要因の可能性もあるけど、ありうるな。
幸運なのは、見たところヒールで回復はしているってことだ。
これなら根本的な原因を改善するまで、その場しのぎは出来る。
漫画とかみたいにさくっと治るのも期待してたが、世の中そう上手くはいかないか。
心因性とかマイナーすぎるわ。パッと治せなくてパッとしねえ。
「今日のところはこれでいいだろう。それとだ……」
俺はおおげさにジロッとふたりを睨んで告げる。
「俺はしばらくは治癒術が使えることを隠したい。だからこのことは口外無用だ。もし漏れたら俺との縁は無くなると思え」
ふたりとも必死に首を縦に振って肯定している。
どうも信用できないんだよな。
核用袋からまだ使っていなかったポーションを全て取り出し、
「また悪くなったらとりあえずこいつを使え。気休めにはなるはずだ」
ヒールもいいんだが出来るだけ目立ちたくは無い。
ならこいつらには出来る限り普通のポーションを使ってもらうほうがいいだろう。
俺が直接動くリスクも低くなる。
ああ、そうだ。
俺はまだ道具屋でポーションを5つしか買ってない。
なら今後はあそこで継続的に買って、それを横流しするのがよさそうだ。
これなら迷宮に入ってるのに殆どポーションを使わない不自然さも誤魔化せる。
いい案だ。
「さて────容体が危なそうな奴はまだいるのか?」




