第13話 恐怖
ギルドの受付の婦人に相談をして紹介された宿に来てみた。
なんでも妹さん夫婦がやっている宿屋らしい。
パステルピンク色をふんだんに使用したちょっと少女趣味な外観には引いたがさっそく中へと入る。
前にいる女性が妹さんだろうか。
ちょっとだけ顔立ちが似ている気がする。
「こんにちわ。泊まりたいんですけど部屋空いてますか?」
「いらっしゃい。シングルだったらまだ空いてるわよ。一泊4000ルトで朝夕食事がついて5000ルトになるわ」
「ああ、よかった。実はギルドの受付の女性に紹介されてきたんですけど」
「あら、姉さんの紹介? なら一泊3500ルトでいいわよ。食事はまけられないから付けると4500ルトね」
「予定がまだわからないんですが、とりあえず一泊食事つきでお願いします!」
「まあ、元気がいいわね。分かったわ。食事は部屋まで届けるけど、居ない時には下げてしまうから注意してね。声をかけてくれれば少し遅れても食べられるけど、あまり遅くなってから言われてもたいした物は出せないから勘弁してね」
「はーい」
よかった。これで一応は当面の危機的状況は乗り切った。
しっかし考えてみると、幼女神様ひどいよ。
いきなりダンジョン近くに飛ばしてくれちゃって、どうやって帰ればいいのやら。
ここからあの村まで帰るのには乗り物を乗り継いで帰れるのか……疑問すぎる。
「おまたせ。これがおつりね。それとリプの間の鍵を渡しておくわね。部屋は階段を上がってすぐのところよ」
「わかりました~」
ちなみにリプというのはこちらで人気の高いフルーツの一種だ。それが部屋の名前に使われているのだ。うん、嫌な予感がする。
疑心暗鬼にとらわれつつも、俺はあてがわれた部屋へと足を運んだ。
「ううっ、これは」
窓枠がピンク色だし。
クッションがハート型だし。
小物がいちいち可愛いし。
これ女性用の部屋じゃないか?
清潔感は高いんだけどね!
部屋を間違えたというわけではないんだろう。多分全部がこんな感じの部屋なんだろうな。
何故何故、ダンジョン探索で魔物を殺しまくって帰ってくる宿がこんなにファンシーなんだ。
雰囲気の格差が激しすぎて、頭の中がハレーションを起こしそうである。
まああくまでちょこっと自分の中で整理がつきにくかっただけで、これでも適応性は高い方だと思ってるから、ちょっと苦笑して言ってみたかっただけだけどね。
「さて、食事までは時間があるし、かといって横になるにも寝てしまうと食事の時に起きれるのかが心配。なにで時間潰そう……?」
ボスっとクッションに腰を落としてもたれかかりつつ、そんなことを呟く。
(そういえばここってお湯とかのサービスあるのかな。少しダンジョンで汗をかいたから綺麗にしてみたいけど)
思い立ったが吉日。
さっそくおかみさんのところに聞きに行く。
「まあ。私としたことが言い忘れていたわね。なんとここにはシャワーがあるのよ。男女用に2部屋あるからいつでも入っていいわよ。でも女性用に入ったら怖い目にあうから注意してね、うふふ」
怖い怖い、おかみさん、眼が怖すぎるよ。




