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第11話 技名

 

 

 

モソモソ、モソモソ。


今俺の目の前でモソモソとしているコイツ。


こいつは確かラージバニー。俺の村周辺でも見かける雑魚魔物の一種である。


しかし雑魚とは言っても、ウサギというには大きすぎる体躯を使った強烈な体当たりは子供であれば動けなくなるほどのダメージになるだろうし、そのまま倒れていると大きな歯で食いつかれるというあまりよろしくない攻撃をしてくる多少厄介な魔物である。


1階でスライム虐めをしていたガキんちょらには少しきつそうな相手。


1匹であればなんとかなるんだろうが、一見安全無害そうなこいつらはゲームでいうリンクモンスター。


必ず5匹程度の集団で行動をし、わずかでも攻撃の意思を見せた者には集団で攻撃をしてくる、リンクモンスターどころかリンチモンスターだろ!と思わず突っ込みたくなる習性を持っている。


なのでただ眺めているだけなら比較的安全なのだが、いざ手を出すとなると勇気が必要であったりする魔物なのである。


俺も例に漏れず、さてどうしようかと攻撃を躊躇していたのだが、既にスライムでウォーミングアップされた足技で、まず2匹を目安に即効で蹴り抜いて、後はなんとかやりぬくという即興の作戦をたてて足を踏み出した。



「飛連脚!」


本当は技名など叫ぶ必要はないのだが、今回は景気付けで。


もっとも叫んだのも既に飛び込んで2匹を足蹴にしたその瞬間を見切ってだ。


流石に、当てる前に叫んで、見事に避けられるお約束は自重した。


それでも攻撃前に叫ぶことによって相手が一瞬ビクッと行動不能になる効果も期待できるから、タイミングさえ見誤らなければ攻撃前に叫ぶのも悪くはないかもしれない。


ちなみに今回の飛連脚、一匹は右足つま先での飛び蹴り。もう一匹は左足踵での打ち下ろしに近い蹴りを同時に行う、両方を組み合わせた技である。


日本人だった頃や、格闘家のクラスを得る前の俺ならば絶対に無理に近いような技だが、やはり今の俺ならば楽に出来るようで、空中での両足の軌道も体重移動も、そして着地もまるでカンフー映画でも見ているかのように華麗に決まった。



「おっと」


着地と同時に他の3匹のラージバニーが足をめがけて突撃してくるのを、すかさず上空におおげさに飛んでかわす。


そうすると向かってきたラージバニーへと下に蹴りを入れるだけで倒せる理想的な状態になっていることに気付き、そのまま体重をかけた蹴りで2匹を素早く踏み抜く。


更にもう一度飛んで最後の一匹をサッカーボールキックで蹴り倒す。


1階のスライムとは違い、ラージバニーの方は体重をかけた蹴りで簡単に一撃でケリをつけられた。



「こいつは旨いな。相性がいいってヤツかね」


倒れたラージバニーらの核をつま先蹴りでもぎ取りながら、そうごちる。





「なんか楽しいわ、これ」


飛んでは蹴って、飛んでは蹴ってを繰り返す。


あれからひたすらジャンプアンドキックだけでラージバニーを倒しまくった。


核の数は既に二百を超えるだろう。


ポケットに入りきらないので上着を脱いで風呂敷のように包んでいるが、少しみっともない感じがする。



「いったん帰るとするか。換金や宿の手配に時間がかかると野宿になるからな」


目の前に広がる15匹ほどのラージバニーの遺体を眺めながら、そう呟いて1階の階段へと足を繰り出した。





 


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