『読経は俺に任せろ!〜ケチで情け深いおじさんの仏事奮闘記〜』
東京の下町、昭和の香りが残る商店街の一角に住むおじさん・田中義男、68歳。趣味はパチンコと漬物づくり。信条は「払わなくて済む金は払わん!」。
ある日、義男の兄が他界。家族会議で「来年は一周忌、再来年は三回忌だね」と話が出ると、義男の眉間にシワが寄る。
「お寺に毎年お布施?バカ言っちゃいけねぇ。坊さんの読経、俺にだってできる!」
家族は半笑いでスルーしたが、義男は本気だった。
◇修行開始
翌日から義男はYouTubeで「読経入門」を検索。 スマホ片手に「般若心経」を練習する姿は、まるでカラオケの新曲を覚える中学生。
「ぎゃーてーぎゃーてー…って、これ早口言葉か?」
近所のスーパーで「読経で鳴らす鈴」を買おうとしたが、当然売っていない。代わりに風鈴をぶら下げて代用。
「チリーン…って、まあ似たようなもんだろ」
◇一周忌当日
仏壇の前に正座し、風鈴を鳴らし、義男は堂々と読経を開始。
「般若心経…かんじーざいぼーさー…」
途中で漬物が気になり、読経中に漬物石を運ぶハプニングも。
家族は最初こそ呆れていたが、義男の一生懸命な姿にだんだん感動し始める。
「お兄ちゃん、きっと笑ってるよ。風鈴で読経なんて、義男さんらしいわ」
◇三回忌では……
義男はさらに進化。読経アプリを導入し、Bluetoothスピーカーでバックミュージックを流す。
「今日はジャズ風読経でいくぞ」
親戚一同が集まり、義男の読経ライブはちょっとしたイベントに。 最後には
「香典返しだ、漬物持ってってくれ!」
と義男特製のたくあんを配布。
◇エピローグ
義男は今でも「読経は俺に任せろ!」と豪語し、近所の法要にも呼ばれるようになった。 お寺には行かないが、心は誰よりも故人に寄り添っている。
「坊さんの読経もいいけどな、俺の読経には“ロックの魂”がこもってんだよ、漬物石だけにな」




