〜3.処刑令嬢、おはじきを拾う〜
入ってきたメイドは、ヤバそうな輝きを放つおはじきと、エルシアの顔を何度も交互に見つめた。
この世界に数個しかない最高峰の宝石であるため、メイドは強い警戒心を抱いていた。
「お、おはじき……ですか。そんな、触ったら指が切れそうに尖っていて、夜の王宮よりも光り輝いているおはじきが、この世に……」
「そうよ?でも、ちょっと重たいから、投げて遊ぶと頭がパッカーンって割れちゃうタイプのおはじきなの。」
――全然安全ではない。鈍器である。国家予算級の鈍器が今、5歳児のポシェットに詰め込まれようとしている。
エルシアの話を聞いたメイドが泡を吹いて卒倒しかけたその時だった。
「ただいま戻りました、お姉様」
開いたままのドアから、小さな足音を響かせて、もう一人の可愛い幼女が部屋に滑り込んできた。
エルシアの2歳年下の妹、セレナ(5歳)である。
過去9回の人生では、毎回エルシアのために必死に無実を証明しようと奔走してくれた、健気で愛しい最愛の妹だ。
しかし、王太子たちの圧倒的な権力の前に力及ばず、毎回エルシアと一緒に捕らえられて悲惨な結末を迎えていた。
(今世では絶対に妹を救ってみせるわ…!)
「あ、そうだ。セレナ!見て見て、おはじきよ!」
「おはじき……?お姉様、それは世界最高峰の原石です。おはじきにしては、一国の経済3回は傾くレベルの質量ですが」
さすがは5歳にして天才の頭脳を持つ妹である。
秒速で本質を見抜いた。
セレナはトコトコと机に近づくと、残された巨大ダイヤをちんまりとした手で持ち上げ、じっと観察する。
その目が、じわじわと怪しく見開かれていった。
「お姉様、これをどうされたのですか?」
「え?ちょっとそこの庭で〜……拾ったというか…?☆」
必死で顔芸を披露してごまかすエルシアだが、
メイドは「えっ」と顔が青ざめ、ガタガタと震え出したが、妹のセレナは違った。
(……お姉様、ついに壊れ……いえ、覚醒されたのですね!?)
――お姉様だけでなく、この妹も脳みそが壊れていたのだった




