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美少女嫌いの俺が女優の年上美少女と疑似交際を始めたら……知らない内に重くなっていた(困る)  作者: 9bumi


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第26話

 金沢先輩の初撮影が終わって、迎えた月曜日。

 つつがなく放課後を迎えると、友人の太一が近づいてくる。


「なあ見心、今日ゲーセン行かね?」

「どうしたんだよ急に」

「いや、テスト週間前に息抜きしたいなと」


 六月初旬に中間テストがあるため、五月の最終週――つまりは来週からテスト週間として、部活動の活動休止など全校的に試験勉強に集中する期間に入る。

 うちの高校は試験問題のレベルが一般的なものより割と高いため、しっかりとこの期間に勉強をしていないと赤点を取って補修ということになりかねない。


 俺としても、テスト週間中のストレスに耐えられるよう、今のうちにリフレッシュしておくことには賛成だ。

 それに、今週末はちょっとした野暮用があるので、あまりリフレッシュできる気もしない。


「なら、行くか――ん?」


 特に予定もないため、太一の提案に乗ろうとしたところで、スマホに一件のメッセージが入る。


 金沢真佳:今日、一緒に帰れる?


 毎朝一緒に登校することは続けているが、下校に関しては金沢先輩のレッスンの関係で今までほんの数回あった程度。

 それも、こんな風に直前に連絡が来たことは初めてだった。


 とはいえ、既に先約があるため、今回は丁重にお断りさせて頂こう。


「もしかして、金沢先輩からか?」

「一緒に帰れないかって言われたけど、断った」

「えっ、いいのか?」

「お前との関係もちゃんと大事にしたいからな」

「見心……っ!」


 太一が両手を胸の前で組んで、僅かに涙ぐんでいる。


 金沢先輩と疑似交際を始めたとこともあって、ここ最近は太一と一緒に遊ぶことも減っていた。

 俺としても、数少ない俺のことをよく知る友人との関係は蔑ろにしたくない。

 

「ほら、感動してないで早く行くぞ」

「おう……っ!」


 太一と一緒に教室を出ると、さらにもう一度スマホが振動する。


 金沢真佳:残念。せっかく夕子と一緒なのに。


 友情とは、儚いものかな。


「悪い太一。やっぱゲーセンはまた今度な」


 やっぱり女優先かよ!


 太一が廊下全体に響き渡るように、そう叫んだ。 


         ※※※


 某有名コーヒーチェーンのボックス席で、俺と太一の正面に、金沢先輩と牛久先輩が並んで座る。 

 先約の太一の話をしたら、金沢先輩がせっかくなら一緒にと言ってくれたのだ。


「紹介します。友達の太一です」

「見心の友人やっています。ま、松戸太一です!」


 先輩二人に太一を紹介すると、言葉を詰まらせながら緊張した様子の太一が名乗る。

 友人をやっていると言うと、何だか俺がお金を払って雇っているみたいだ。


「三島くんの彼女の金沢真佳です。こっちは」

「真佳ちゃんの友達の牛久夕子です。よろしくね」

「は、はい。お二人とも、よろしくお願いします!」


 少し興奮気味に太一が頭を下げる。見た目はそこそこチャラい太一だが、こういう反応は初々しい。


「松戸くん。聞きたいことがあるんだけど、いい?」

「もちろんです! 何でしょうか金沢先輩!」

「三島くんについて、友人の視点から色々と聞かせて欲しいの」

「ちょっと、金沢先輩……」

「いいじゃない。彼女として、彼氏について色々と知りたいの」


 金沢先輩は隣に視線を向けると、牛久先輩が「私も聞きた~い!」と笑顔を浮かべる。その笑顔、反則です。


 仕方なく、太一に変なことは言うなよと横目で釘を刺す。


「それじゃ早速――」


 真佳先輩は、俺の中学時代を中心にして、太一に根ほり葉ほり聞き始める。


 昔から性格は変わっていないのか?

 修学旅行での思い出は?

 さらには初恋の思い出はないのか?


 初恋――懐かしい。結局、りりあに台無しにされたが。


 りりあのことを知らない太一は、そこも面白おかしく俺が振られたエピソードを語った。


 簡潔にいうと、俺のことがタイプではないという理由で振られた。りりあの圧もあったが、後で聞いた話、本当に俺はタイプではなかったのでどのみち振るつもりだったらしい。


 俺は塩顔というタイプらしく、人の好みが分かれるらしい。件の彼女はぱっちりした瞳のアイドル系の顔が好きだったようだ。


 粗方、俺について聞きたいことを金沢先輩が聞き終わったタイミングで、ちょうど手元の飲み物が無くなったので、店を出る。

 

「夕子はこの後、塾よね」

「うん。真佳ちゃんは?」

「三島くん、二人で話したいことがあるんだけど」

「分かりました」

「そういうわけだから」

「じゃあ松戸くん、途中まで一緒に帰ろうか」


 ――は……?


 さらっと流されるまま、太一は牛久先輩と一緒にこの場を去っていく。


 今すぐそこを代われ、友人よ!


 当然、俺の心の叫びが聞こえることはなかった。


「とりあえず、場所を変えましょうか」


 近くにあった小さな公園に入り、空いていたベンチに並んで座る。


「それで、話しというのは?」

「一昨日、言ったお礼の話」


 お礼という意味なら、この前焼き肉を奢ってもらったばかりだ。

 それに先日の件は、俺的に気にする必要はないと思っている。


 だが、どうやら金沢先輩はその手のことはきっちりしないと気が済まないらしい。


「何か希望はある? あっ、夕子以外で」

「特にはないですね」

 

 条件を指定されてしまっては、何も思いつかない。


「だったら今度の週末、日帰りで熱海とかどう? もちろん、交通費は私が出すわ」

「別にいいですけど、どうして熱海?」

「この前、言ってたじゃない。プリンが食べられなかったって」

「ああ……」


 前回、姉貴が熱海に行ったとき、珍しくお土産でプリンを買ってきてくれたのだが……。

 金沢先輩が焼き肉の写真を送ったせいで、腹いせとして俺の分のプリンを姉貴がペロリしてしまったのだ。


 チラッとそのことを愚痴った記憶があるが、まさか覚えていたとは。

 もしかしたら、何気に気にしていたのかもしれない。いや、さすがに考え過ぎか。


「OKってことでいい?」

「はい」

「じゃあ、日にちだけど」

「日曜日でお願いします。土曜日は予定があるので」

「日曜日ね、了解」


 それから中間テストは大丈夫かなど、ちょっとした雑談をしてから俺たちは帰路についた。


 ちなみに、家に帰ったら、太一からメッセージが届いていた。


 松戸太一:牛久先輩、めっちゃ良くね?


 当然、既読無視した。




 

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