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1話

  初めまして。


 わたくしはある港町にて、喫茶店を営むしがないオーナーです。ちなみに、店名は「喫茶店Sea cove」と言いますね。読み方は(シーコーブ)となります。英語で、「海の入江」という意味ですね。

 わたくしは名前を入江智津子と申しまして。一応、独身です。性別は女性で年齢は38歳になりました。

 まあ、自己紹介はこれくらいにしますね。

 今日は10月も下旬に入りました。山を彩る紅葉が鮮やかになる季節ですね。

 ふと、故郷の光景を思い出しました。


 カランカランとドアに付けたベルが鳴ります。来客の知らせですね。


「……いらっしゃいませ」


「こんにちは、マスター」


 店内に入って来たのは私より、少し下くらいの年齢の女性でした。黒髪をショートカットにして、白のブラウスに黒のジャケットとパンツというシンプルなスーツ姿です。首元には小ぶりなダイヤのネックレスを掛けていて。身に付けているアクセサリーはそれくらいで、至って生真面目そうな印象を与える方に見えますね。まあ、口調からすると来店するのは初めてではない事は分かりました。


「……マスター、あの。今日は冷えるから、ホットコーヒーとワッフルのセットを1つお願いします」


「分かりました、少々お待ちください」


 女性は頷くとカウンター席の左端に腰掛けます。わたくしは手早く、マキネッタにコーヒー豆を入れたりと準備をしました。焙煎して抽出する間にワッフルの生地を冷蔵庫から出して、ワッフルメーカーで焼きます。生クリームを泡立てたり、フルーツをカットもしました。ワッフルが焼けたら、お皿に盛り付けます。生クリームを搾り器でデコレーションしたり、カットしたフルーツも添えて。

 抽出できたコーヒーをポッドに入れ、カップに注ぎます。ふわりと店内に良い香りが揺蕩いました。

 ソーサーにスティックシュガー、コーヒーフレッシュ、スプーンを添えます。一通りできたら、トレーに載せました。


「お待たせしました、ご注文のホットコーヒーとワッフルのセットになります」


「ありがとうございます」


 女性の側に行き、前側にコーヒー入りのカップやお皿、カトラリーを置きます。わたくしは終わると一礼をしました。


「それでは、ごゆっくりどうぞ」


 女性は軽く頷き、微笑みます。あれ、このお客様は以前にも会ったような?

 今更ながらに気が付きました。それでも、顔には出さずにカウンターの裏側に戻ります。

 女性はゆっくりとコーヒーにスティックシュガーやコーヒーフレッシュを入れて、スプーンで混ぜました。カチャカチャと言う音が辺りに響きます。


「……マスター、こちらに来るのは5年ぶりなんですよ、あたし。やっぱり、お店の雰囲気は変わらないですね」


「はあ」


「3年前に友人と一緒に来た事がありました、後は。彼氏と2人で何回かは来店しているんですけどね」


「成程、お客様は以前にも何回か、お見かけしましたね」


「そうなんです、けど。去年に彼氏と別れて。それ以来、足が遠のいちゃって」


 ぽつぽつと女性は喋りながら、コーヒーを口に運びます。カトラリーも手に取り、ワッフルを切り分けました。ホイップクリームを付けて食べます。


「今日、ちょっと寄りたくなったんです。それで来たんですよ」


「そうなんですね」


「コーヒーもワッフルも美味しいです」


 はにかむように、女性は笑いました。わたくしも気がついたら、笑っていたように思います。

 女性はコーヒーやワッフルを堪能して、帰って行きました。

「また、来ますね!」と、にっこりと笑いながらですが。わたくしは彼女が元気になって良かったと胸を撫で下ろすのでした。

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