episode2 『能力創造』
ーーーそして俺は、死んだ。
(クソ、真っ暗だ。何も見えないし...)
(翔也たちはどうなった...?)
(助かったのか?)
(俺は正しい選択をできたのか...?)
(てか、死んだはずなのに、なんで意識がある...?)
(まさか、死んでるのに意識だけ残っちゃったヤツ...?!)
(うわぁ...最悪だ... 何もできないし、ただ辛いだけじゃねぇか...)
(いっそのこと、意識なんて残さずに死んで欲しかったな...)
(...ただ、なぜだろう、少しだけ、暖かさを感じる...)
その時、遠くからだんだんと白い光を感じた。
それはどんどん近づいて来て...
... ...
「ねえ!聞こえてるー?ちょっと君?起きて!!」
白い光の中に、大きな影と、その声を聞いた。
(眩しい...)
ゆっくりと重い瞼をこじ開ける。その先には...
「あ、起きた!」
そこにいたのは、金髪の、中学生くらいの歳の少女が一人、服装は...この辺ではなかなか見ない、というか白い羽衣(?)を着ている。
というか、見た感じの年齢に反して、これはまた、随分と大きいものを持っている。
... ...!
ーー俺は飛び上がった。
「これって、生きてる...のか?」
「死んでないのか...??」
「ううん、フツーに死んでるよ」
「え、はぁ?」
状況が全く理解できない。死んだのに生きている、なのに死んでいる...?
少女の一言に、思わずとっさに口に出てしまった。
「じゃ、じゃあ、今俺たちがしゃべっているのは、ただの想像で、頭の中でのことなのか?」
「君は一体、何者なんだ?」
「まずここはどこなんだ?」
「君のその服は一体どうい...」
「んんー質問が多い!!!!」
混乱している俺は、彼女の大声に驚いた。
「ここは死者が行き着く場所。でも、君みたいに、前世の記憶が残ったままこっちにくるなんて、僕も初めて見たよ。」
(前世...?『こっち』ってどういう...)
「それでね、君の最後を、僕は見ていたんだ。」
「親友とその妹のために、自らの命を引き換えに助けるなんて...」
「素晴らしい!!」
「いやしかし、危険をかえりみない愚かさもあった!でも僕はそんな君が気に入った!」
本当にあたまがパンクしそうになってきた。
意識をギリギリ保ちながら、なんとから言葉にして発す。
「あ、あの、これから俺、ど、どうなっちゃう?んですか...?」
「どうなるも何も、これから君には第二の人生を歩んでもらうよ」
おっと、予想外の答えがきた。というわけでもなかった。
最近流行りの転生ものアニメでは、こんな答えはド定番である。
だったら次はおそらく、、
「君の前世の勇気を讃えて、この僕が君に一つ、力を授けてあげましょー!」
やはりきた。
好きなスキルを一つもらって、異世界に送られるパターンだな。
とすると、やはり最強スキルである即死か...?いや、爆発魔法や身体強化魔法、なども面白そうだ...。便利なとこを行くなら、水や風を操ったり生み出したりするのもありだが...ーーー
そんなことを考えていた。が、今度こそ予想外な答えが来た。
「じゃじゃーん!!このめちゃでかガシャポンを回して、出てきたスキルを1つ、授けちゃいまーす!!」
ガーーン!!!!......
ま、まさかのランダムで決まっちゃう感じだったか...
てか早く言え!俺の考えてた時間返せ!
「ん?どしたの?」
「いや、まあなんでも...」
まあ、スキル1つもらえるわけだし、極論、ここで俺が良いのを引いてしまえば良いわけだ。俺の豪運を、舐めるんじゃねえぞー?
「ちなみに、何回でも引き直していいからね〜♪」
(はい今こいつガシャの存在意義潰したー!...ーーー)
でもまあ、それなら安心だ、とりあえず1回、引いてみるか。
大きなハンドルを、両手で力強く回した。
ガラガラ...コトン
大きな黒いカプセルが一つ、出てきた。
「お、じゃあそのカプセル、あけてみて!」
カプセルを開ける。
すると、目の前に緑の光が浮き出て現れた。
そこに文字が書いてある...が、みたことのない文字だ。
でもなぜか不思議と意味だけは理解できる。
「えっと...攻撃スキル『星空流星』...??」
「効果は...「広範囲に流星を降らせる。威力は...町1つ破壊程度」?!」
「お〜っと、いきなり随分強いスキルを引いたねぇ〜」
「僕のイチオシなんだけどなー、どうする?まだ引き直す??」
イチオシ、、正直、相当強いスキルを引いてしまったのだろう。てか、使い所に困るわ!!!
「続ける!もう一回!」
「おっけー、じゃあこのスキルは消滅させちゃうよー」
あ、やっぱり、取っておくというのはできないようだ。まあ当たり前だろうな。それじゃあ、祈りを捧げまして、、
ガラガラ...コトン
次は緑色のカプセルが出てきた。
「えーっと次は、、料理スキル『食材消化』」
... ...
「まあ、結果は予想できるけど。えーと、効果は、「余った食材を適当に入れても美味しくなるレシピを...」」
「...ってもはやただのチャーハンのレシピじゃねぇか!!」
「もう一回!」
綺麗な、透明感のある水色のカプセルだった。
「次は...エレメントスキル『氷解』」
「お?!これは期待大なんじゃないか??これは強そうだ」
「で、お楽しみの効果、効果は〜♪ ......「氷を溶かす」」
(つ、使えねぇぇ......)
まさかの雑魚スキルだった。
「ならもう一回だ!」......
この時、雅也は最強スキルが出るまで、ひたすら回し続けてやると、そう心に誓った。。。
ーーー「...あのー、まだ決まらないんですかー?」
「...これの効果は...ん?どうした?」
「あの、もうすでに5時間たってるんですけど!流石に眠くなってきたんですけど!!!」
「でも何回でも引き直していいんだよね?」
「まあ、そうなんだけど...」
「あぁーダメだー、僕はもう寝るよ...気が済むまで回しといてー...」
「え、ちょ、女神様ーー?!?」
「あ、あと僕は一応天使だから...」
と、どこかに消えていってしまった。
ーーーそして、厳選開始から20時間が経過したころ。。
ガラガラ...カチンッ
「!?!?」
明らかにいつもと違う音がなったのだ。金属音のようだった。
カプセルの取り出し口のなかを覗く。
そこには、かつてないほど白く輝いたカプセルがそこにあった。
カプセルを取り出し口からゆっくりと取り出す。
ドキドキ、ワクワク
興奮と同時に冷静さがあった。
唾を飲み、カプセルを開ける。そして、スキルが出てきた。
「...クリエイションスキル『能力創造』」
「効果は、「望んだスキルの生成」... ...」
なんと、とんでもスキルが出てきてしまった。
"スキルが作れるスキル"...?
そんなの、100%チートじゃないか!?
まだ何か書いてある。
「...スキルレベル1?」
「「レベルによって、作れるスキルの種類が変化します。」か...」
なるほど、流石になんでもポンポン生み出せるというわけじゃないということか。
「だが俺はこの『能力創造』に可能性を見出した!!」
こうして、雅也による長い長いスキル厳選が、リセマラが、ようやく幕を下ろしたのである。ーーー
「おぉ!ようやく気に入るスキルが見つかったんだね?!」
「うん、俺はこの手に入れたスキルと共に、新しい世界で生きていこうと思うよ。」
「よくぞ言った!」
「それじゃ、早速君の新しい世界に送っちゃうよ!」
「あ、そうだ天使様、新しい世界って、どんなところなの?」
「ん〜そうだなー、あ、君たちの世界で言う、『RPG』というものに似てるんじゃないかな〜」
ということは、つまり、モンスターあり、魔王あり、そして、仲間たちとの旅...
雅也は今、新たな生活に希望を抱き、1つのスキルと共に、
天使の元を巣立っていく。。ーーーー