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凄い先輩
「…………へっ?」
卒然、少し遠くから大きな声が届く。見ると、リレーの集合場所にほど近い辺りで、足を押さえながら座り込む渡部先輩の姿が。場違いかとは思いつつ、思わず僕も駆け寄ると――
「……いや、大丈夫だ。心配させてごめ……ぐっ」
「……いや、大丈夫じゃねえだろ。どう見ても腫れてんじゃねえか」
そう、笑ってみせるも痛みを堪えきれない様子の渡部先輩。失礼かと思いつつも、ゆっくり足の方へ視線を移すと……確かに、見るも痛ましいほどにふっくら腫れていて。
……いつから、だろう。もしかすると、応援合戦の時点でもうこの状態で……だとしたら、これほどの痛みを抱えながら、何事もないかのようにいつもの笑顔でみんなを引っ張って……うん、本当に凄い先輩だ。




