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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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思わぬ再会?

「――いやー、一時はどうなることかと思ったけど、こういうのも中々楽しいもんだね」

「はい、そうですね斎宮さいみやさん」



 それから、一時間ほど経て。

 和やかなやり取りを交わしつつ、ゆっくりと廊下を進んでいく僕ら。そんな僕らの手には、それぞれグラスが二本ずつ――日坂ひさかくんと織部おりべさんの分も含め、飲み物を調達すべくドリンクバーへと向かう最中で。


 そして、斎宮さんの言葉には全く僕も同意で。この四人で遊びに行くというのは初めてだったし、どうなるかなぁとは思ったけど……うん、ほんとに楽しい。……まあ、この四人でも何も、僕がこれだけの人数で遊びに行くなんてひょっとすると初め――


「……あ、でもさ新里にいざと。その、次は――」


「――あれ、もしかして朝陽あさひくん?」

「「……へっ?」」


 卒然、斎宮さんの言葉に被さる形で声が届く。ご無沙汰のような、そうでもないような……ともあれ、声の方向――後方を振り返ると、


「おっ、やっぱり朝陽くんだ。久しぶり」

【……えっと、その……お久しぶりです、郁島いくしま先輩】


 そう、花のような笑顔で挨拶をしてくれる男性。彼は郁島氷里(ひょうり)さん――鮮やかな亜麻色のマッシュヘアに、水晶のように透き通る瞳を宿す美青年で、昨年まで我らが聖香高校にて生徒会長を務めていたお方です。……ところで、それにしても……うん、ほんと綺麗だなぁ。



「――それで、朝陽くんは……ひょっとして、デートかな?」

「……へっ!? あ、いえいえそんな!」【……その、僕がデートなどしようものなら、きっと近い内に天変地異が生じてしまいます!】

「うん、そこまでくるともはや謙虚なのか傲慢なのか分からなくなるね」


 思いも寄らない驚愕発言に慌てて答えると、どこか呆れたように微笑む郁島先輩。……あれ、なにかおかしなこと言ったかな?


 ともあれ、それから少しばかりお互いの近況といったやり取りを交わす僕ら。なんと、郁島先輩はあの京都大学に入学したとのこと。……うん、改めてだけどほんと凄いね、この先輩ひと

 そして、楽しいから僕も二年後にと勧めてくださったけど……その、僕にはちょっと……いや、でもやる前から諦めるのも良くな――



「――あの、会長!」

「……へっ?」


 そんな後ろ向きのような前向きのような思考の最中さなか、不意に隣から響く斎宮さんの声。……しまった、僕一人で話しすぎちゃってたかな。それとも、待たせちゃったことを怒……いや、それは違うか。名前を呼ばれたのは僕でなく、郁島先輩なわけだし。


 ところで、それはそれとして……うん、もう会長さんではないんだけどね。まあ、敢えてツッコむことでもないけど。それを言うなら、僕だって今や先輩という表現が適切かは定かでな――



「……その、あたしは……もう、会長のこと好きでも何でもないんだからね!」


「…………へっ?」






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