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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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……うん、まあ分かるよ?

「…………ふぅ」



 ある休日の夕さり頃。

 リビングにて、勉強が一段落した後だらりとソファーへ凭れ込む。いやぁ、やっぱり古文の主語把握は難しいなぁ。


 ともあれ、窓の外――すっかり黄昏に染まった外を眺めつつ、ぼんやり今日のことを思い起こす。巧霧たくむと一緒に行った、今日の映画館でのことを。



 ……ただ、それにしても――


「……ほんと、悪いことしちゃったな」


 そう、ポツリと呟く。彼に言われたから、なんて言い訳にもならない。彼がしたのは、あくまで提案――それも、あたしが尋ねたから答えただけ。言わずもがな、決定権は私にあった。


 そして――その上で、あたしは巧霧を誘った。他にも選択肢はあった中で、あたしは巧霧に声を掛けた。あたしに対する巧霧の気持ち――そして、その気持ちに応えられないことを知っていながら。……ほんと、悪いことしちゃったな。



 ……ところで、それはそれとして――


「……いや、何してんのほんと」


 そう、呆れつつ口にする。今度は、あたしに対してでなくあの二人――なんか、扉の裏でこそこそしてたあの二人に対してで。


 ……うん、まあ分かるよ? あたし達に見つからないよう隠れてたことくらい。でも、よもやあれでバレないと本気で思っていたのか……いや、流石にないか。きっと、あたし達を目にして咄嗟に動いただけなのだろう。尤も、姿自体はほぼ見えなかったので、実際どういう状況だったのかは定かでないけど……うん、なんかモヤモヤする。


 ところで、そもそもなんで二人がいたのか――まあ、考えるまでもなく織部おりべさんの発案だろう。自分は行けないと言ってチケットを渡したくせに、その当人が同じ場所にいるなどという馬鹿みたいなリスクを彼が自主的に犯すはずないし。大方、今更キャンセルは効かないなどと言われ、断るに断れなかったのだろう。以前、あたしも似たような方法を取ったし。……まあ、それはともあれ――



「……さて、どうしたもんかな」





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