溜め息
「…………はぁ」
リビングにて、微分の難問にチャレンジするも途中で鉛筆を置きそっと溜め息を零す。……うん、今日はもう止め。全然身が入らないし。
ダラリとソファーに凭れ、窓の方へと視線を移す。見ると、まだ随分と明るい。まあ、そりゃそうだよね。今日は、随分と早く帰って来ちゃったし。呆然とする彼をおいて、一人さっさと帰って来ちゃったわけだし。
「…………はぁ」
再度、溜め息が洩れる。……うん、流石に分かってる。今日のあれが、例の後輩――織部さんの差し金であろうことは。
……いや、この言い方は良くないかな? 彼女から言い出したことは間違いないだろうけど、あくまで彼は自主的に承諾した可能性が高いし。あたしの恋を一番に応援しつつも、その一方で巧霧の恋も応援していることはある程度分かってたし。
……ただ、それにしても……随分と良く分かってるなぁ、彼のこと。どう言えば、彼が望み通りに動くのかちゃんと把握してる。……いや、今のところあたしの憶測でしかないんだけどね。まあ、それはともあれ――
「……ほんと、厄介だなぁ」




