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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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二年生です。

 麗らかな春の陽が何とも心地好い、四月上旬のある朝のこと。


 道中、公園に咲く満開の桜を眺めながら、ふとこの一年――とりわけ、後半あとの半年をぼんやり思い浮かべる。それは、それまでにないほど輝きに溢れた日々で――


 ――パシンッ。


「――おっはよー、新里にいざと!」

【……お、おはようございます斎宮さいみやさん。……ですが、その……少し痛いです】

「あはは、ごめんごめん。ちょっと勢い余っちゃって」


 心地好い思考の最中、不意に背中に衝撃が走る。ゆっくり視線を向けると、そこには花も恥じらう可憐な笑顔を浮かべる美少女の姿が。軽く背中をさすっていると、少し可笑しそうに微笑む彼女。そして――



「――さて、今日から二年生だけど……これからも宜しくね、新里!」




 ――それから、数十分後。


「――あちゃー、やっぱり違ったか」

「……そう、ですね」


 そう、軽く額に手を当て話す斎宮さん。違うとは、クラスのこと――昇降口の掲示板に張り出された、新クラスの振り分けのことで。……まあ、残念だけど仕方がない。確率的にも、一緒になれない方が高いわけだし……それに、今まで通り放課後やアルバイトでは会える……よね?


 そういうわけで、三階――二年生のフロアまで来た後、それぞれのクラスへと赴く僕ら。斎宮さんはB組、僕はE組へと。


 ところで、B組にはの美少年、日坂ひさかくんもいるみたいで。……うん、羨ましいなぁ。……えっ、どっちが? うん、両方かな。



 ともあれ、胸の高鳴りを抑えつつ教室の中へ。……大丈夫かな? 知り合いできるかな? できなかったら、また教室の隅でポツリ一人……いや、それでも良いか。そもそも、ここ半年くらいが例外だっただけで、基本ずっとそうだったんだし。


 だけど、幸いそうはならなそうで。と言うのも――去年も同じクラスで、こんな僕にも時々話し掛けてくれていた女子生徒、西条さいじょうさんが今年も同じクラスみたいで。実際、さっきも笑顔で声を掛けてくれて。……うん、良かった。挨拶してくれる人がいて。




 それから、数十分後。

 朝のホームルームを終え、体育館――ほどなく行われる、入学式の会場へと移動する。


 ところで、珍しいことに当校では在校生も基本、入学式に参加することになっていて……いや、珍しくもないのかな? 単に、僕が知らないだけで。


 ともあれ、体育館へと集合――昨年同様、立錐の余地もないほど人がいて。……いや、流石にそれは言い過ぎかな? まあ、それはともあれ――  


「…………あ」


 所定の位置へと向かう最中さなか、ポツリと声が洩れる。と言うのも――少し遠くの斜め前方に、笑顔でこちらに手を振る斎宮さんの姿があったから。……えっと、僕だよね? 勘違いだったら……いや、そうでなくても少し恥ずかしいけど笑顔で手を振り返し……うん、ちゃんと笑えてるかな?



 ともあれ、ほどなく全校生徒が所定の位置へ。それから、式は恙無く進み――



「――新入生、代表挨拶」


 そんなアナウンスに、どうしてか少し恥ずかしくなる僕。……いや、どうしてかも何も、去年みっともなく辞退したからなんだけど。仮に、それが今年――そして、きっと来年であっても同様に辞退したことだろう。なので、これほどの数の人達を前に壇上に立とうと思えるだけでも、僕からすれば本当に凄く頭が下が――



「…………へ?」






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