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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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季節は巡り

 麗らかな春の陽光ひかりに包まれる、四月上旬――そんな、穏やかな昼下がりのこと。



「――それでは、改めて宜しくお願いします」

「はい、校長先生。不束ふつつかな身ではありますが、精一杯務める所存です」



 そう、深く一礼しゆっくりと校長室を後にします。何のお話かというと――およそ一週間後に控えた、入学式における新入生代表挨拶のご依頼に関してです。


 ところで、余談ではありますが……例年のごとく、昨年の候補者――即ち、入学試験における最優秀成績者へ例の挨拶を依頼したところ、当校史上初めてお断りされてしまったとのこと。まあ、それが何方どなたかなど確認するまでもないでしょう。





「――君、もしかして新入生? それとも、お兄さんやお姉さんを待ってるとか?」

「……へ?」


 校門を少し出た辺りで、ふと頭上から降りてきた問い。見ると、そこにはジャージ姿の爽やかな男子生徒。時期も時期ですし、恐らくは部活帰りなのでしょう。ともあれ、ここで返答すべきは――


「――はい。実は、恋人を待っていまして」

「そっ、そっか……うん、邪魔してごめんね」

「いえ、気に掛けて頂きありがとうございます」


 そうお伝えすると、些か残念そうな表情を浮かべ去っていく男子生徒。……まあ、嘘なのですけどね。少し立ち止まり校舎をぼんやり眺めていただけで、誰も待っていません。ともあれ、折角関心を寄せて頂いたというのに……やはり、些かの申し訳なさは禁じ得ないですね。


 ところで、嘘というと他にも……いえ、こちらに関しては然したる問題もないでしょう。きっと、そう遠くない内に事実になるでしょうし。


 それから暫しして去る間際、再び振り返り校舎を眺めます。これから三年間、甚くお世話になるであろう学び舎――聖香高校の校舎を。



「……やっと、逢えますね――朝陽あさひ先輩?」





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