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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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再びのご登場?

「さて、新里にいざとのちょっと気持ち悪い嗜好も知れたところで……もう時間だから、そろそろ行くね?」

【……あっ、申し訳ありません! 折角の休憩時間だったのに、あまり休まらなかったのでは……】

「ううん。むしろ、新里と話せてリフレッシュ出来たくらいだよ。お陰で、ここからの仕事も頑張れそう」

【……でしたら、良いのですが……】



 その後、再び腰を下ろし暫し他愛もない話に花を咲かせていた最中さなか、ふと立ち上がりそう告げる斎宮さいみやさん。現時刻は――13時51分。休憩時間は14時までとのことなので、確かにそろそろ戻る必要があるだろう。……ところで、ひょっとして今気持ち悪いと言われました?


 まあ、それはそれとして……彼女はああ言ってくれたものの、やっぱり申し訳ないなぁ。休憩時間ほぼ丸々僕と話していたわけだし、きっとほとんど休めてないよね。考えても無駄かもしれないけど……僕に、何か出来ることとか――



「……あの、夏乃かのちゃん。ちょっと、困ったことになっちゃって……」



 卒然、お言葉の通り困ったような表情で話す斎服の女性。彼女は天船あまふね美夜みよさん――ここ天船神社の神主さんだ。少し心配そうに事情を尋ねる斎宮さんに対し、天船さんは再び口を開いて、


「……その、14時から出勤してくれることになってた子から、突然キャンセルが入っちゃって、それで……」

「……そう、なんですね……」


 そう、申し訳なさそうに話す天船さん。……だけど、話を聞いている限り彼女に責任があるとは思えない。突然のキャンセルなんて、彼女にだってどうすることも出来ないわけだし。


 ともあれ……天船さんの言うように、これは大変困った事態だ。出勤してくれる子、というのは恐らく斎宮さんと一緒に巫女さんを務めてもらう予定の子だったのだろう。その人が来ないとなると、きっと斎宮さん一人でお客さんの対応をすることになる。恐らくは、ここからも大変忙しくなるであろう中、たった一人で――



「――そういうことなら、心配ないですよ美夜さん!」

「「……へ?」」


 そう、明るく答える斎宮さんに思い掛けず声が重なる天船さんと僕。そして、何となく気恥ずかしくなり互いに軽く一礼する。……まあ、それはともかく……心配ないとは、いったいどういうことだろう? 天船さんに心配を掛けないため、努めて明るく振る舞って……いや、斎宮さんの表情を見る限り、そういうわけでもなさそうだ。だとしたら、彼女にはなにか秘策でも――



「…………ん?」


 そんな思考の最中さなか、どうしてか甚く楽しそうな笑顔で僕を見つめる斎宮さん。……あれ、何だかもの凄く嫌な予感が――



「――さあ、出番だよあさいーちゃん!」

「あさいーちゃんそんなマルチじゃありませんよ!?」






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