表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/287

神聖なお役目?

「――いやー、ほんと大変だったよ。昨日はそれほどでもなかったんだけど、今日は朝からほんと忙しくって。あっ、でも嫌ってわけじゃないけどね。琴乃葉月で働いてる時もそうだけど、お客さんに喜んでもらえるのは凄く嬉しいし」

【本当にお疲れさまです、斎宮さいみやさん。そうですね、お客さんに喜んで頂けるのは僕も大変嬉しいです】



 それから、数十分経て。

 ゆるりと腰掛け一息ついた後、疲れを見せながらも嬉しそうに話す斎宮さん。本当にお疲れさまです。

 ところで、僕らが今いるのは縁側――この神社の主人あるじたる天船あまふねさんのご自宅に設置されている、何とも風情ある桧木ひのき材の縁側です。



 天船さん一家とは、以前から家同士、懇意の間柄であったそうな。そして、高校生になったことと人手が不足しているのを理由に、この度天船さんからアルバイトの依頼を受けた――これが、斎宮さんが巫女さんとして授与所に務めていた経緯いきさつとのことです。


 ……と言うことは、彼女も以前から時折こちらに参拝していたのだろうか。残念ながら、一度も会うことはなかっ……いや、単に気が付かなかっただけの可能性も捨て切れはしないけれど。ともあれ、新年早々彼女の新たな一面を見られたことは本当に喜ばしく――



「――ところでさ、新里にいざと。どう?」


 すると、不意に立ち上がりそう問い掛ける斎宮さん。両手を後ろに回し、何処か悪戯っぽい微笑を浮かべながら。


 どう――随分と漠然とした問いではあったが、流石にその意図は伝わった。なので――



【――はい、大変素敵でお美しく、思わず見蕩みとれてしまいます】

「…………へっ?」



 すると、ポカンと口を開き呆然といった様子の斎宮さん。あれ、ご自身で尋ねたのにこの反応はどうしたことか。


「……えっ、あの、ほんとに? ほんとに、そんなに良いと思ってる?」


 そして、何処か反応を窺うように再び問い掛ける斎宮さん。心做しか、雪のように白いその頰が朱に染まっているようにも見える。

 ……ひょっとして、僕の言葉がお世辞の類だと思われているのかな? だとしたら、僕としても甚だ不本意であるからして――


【もちろんです、斎宮さん。神聖な装束に身を纏い、人々の祈りを神様に届ける斎宮さんのお姿は何とも形容しがたいほどに尊く――】

「かつてないほどの絶賛だったよ!! というか巫女さん好き過ぎない!?」

【いやー、こうして新年早々、斎宮さんの新たな一面をお目にかかることができ大変喜ばしく――】

「こっちの台詞なんだけど!?」


 すると、目を見開きつついつもながらの鋭いツッコミを入れる斎宮さん。うん、やっぱり彼女はこうでなくっちゃ。



「……ま、まあでも? もし、新里がこういう格好が好きだって言うなら……その、たまになら、してあげないこともないけど……」


 そんないつもながらのやり取りに心地好さを覚えていると、ふと少し目を逸らしつつそう口にする斎宮さん。こちらがお願いすれば、今後も巫女さんの格好をしてくれるかもしれない、ということだろうか。そんな有り難い申し出に、僕はさっとペンを走らせ答える。



【――ありがとうございます、斎宮さん。ですが、先ほども申し上げたように、巫女さんとは人々の祈りを神様に届ける神聖な存在であり、そのお役目を一心に務めるその尊いお姿に強く心惹かれるわけなのです。であるからして、別段そういったコスプレに関心があるわけではなく――】

「意外と面倒くせえなぁ!!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ