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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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特殊な事情?

「……さて、どこに行こうかな」



 それから、およそ一週間後

 正午を少し過ぎた頃――そんな呟きを零し、閑散とした住宅街を一人歩いていく。ただ、それにしても……三箇日だというのに、いつもながらほとんど人通りないなあこの辺り。まあ、正直僕にとっては有り難いけども。



 ところで、どこに行こうかなというのは――具体的には、どこの神社に行こうかなというお話でして。ここから比較的近いと言えば……例えば、伏見稲荷大社かな。でも、八坂神社もそれほど遠くはないか。それとも、結構遠くなるけど貴船神社も良いかな――


 でも……なにせ、今日は1月2日――繰り返しになるけど、三箇日真っ只中だ。平時でさえ数多の来訪があるだろうこれら由緒ある神社に、頗る人混みの苦手な僕が出向くというのはどうにも抵抗が。そもそも、これらどの神社にも近くないこの住宅街あたりをこうしてふらふらしている時点で、我ながら本当にお参りする気があるのかという話で――


「……やっぱり、あそこかな」


 そんな呟きと共に、十字路を右へと曲がり真っ直ぐ進む。この道をひたすら進むと、小さな公園の隣に小さな神社が一つひっそりと佇んでいたり。お世辞にも知名度があるとは言えないけど、自然豊かで静謐としているあの空間が好きで、以前から時折足を運んでいたりする。


 それから、歩みを進めること数十分。ワクワク高まる僕の視界に、お目当ての風景が入ってきて――


「…………え?」


 思わず、ポツリと声を洩らす。何故なら――普段は閑散としているはずのこの辺りが、本日はどうしてか随分と混み合っているから。



 いや……よくよく思い返すと、数分ほど前から徐々に往来が増えていた気がしなくもない。やっぱり、三箇日だから……いや、僕は去年も――どころか、ここ数年ここを訪れているけど、どの際もとりわけ平時と変わらず閑散としていたはずで。


 ともあれ、常ならぬ数多の――とりわけ、男性が大半を占める数多の往来に暫し呆然とする僕。だけど、次第に判明してきたのは――どうやら、彼ら彼女らの目的はやはりの神社のようで。


 もちろん、今日のような日にこういう場所への来訪が多くなること自体、何ら不思議なことじゃない。とは言え……うん、他にもっとあるよね? いや、大変失礼なのは重々承知だけども……それでも、今年になって突然参拝者が急増するというのは、例年とは違う何かしら特殊な事情があるとしか思えないわけで。


 ともあれ、その特殊な事情をこの目で確認すべく込み入った鳥居をくぐる。そして、間隙を縫いつつさっと辺りを見渡し――直後、驚愕する。何故なら、長い列の向こう――お馴染みの授与所の中に、大変お馴染みの美少女が視界に飛び込んできたから。



「……斎宮さいみや、さん……?」







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