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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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カップル成立?

【……あの、斎宮さいみやさん。重ね重ね、同じ質問をして申し訳ないのですが……ほんとに、良いのでしょうか?】

「うん、重ね重ね同じ返事をするけど、問題なんてないない。向こうだって、事実かどうかなんて気にしてないから」



 それから、数日後の放課後。

 道すがら、おずおずと尋ねる僕とは対照的にからっとした笑顔を浮かべ答える斎宮さん。そんな僕らが現在いま向かっているのは、こんな僕でも比較的容易に訪れることの出来る数少ないレジャー施設――映画館です。



『……ねえ、新里にいざと。突然なんだけど……その、今から映画観に行かない?』



 空き教室にて数分ほど閑談を交わした後、何処か窺うように尋ねる斎宮さん。お話によると、ご友人から余ったチケットを二枚頂いたとのこと。ここ最近、ごく一部――本当にごく一部の映画ファンの中で話題の作品らしいのだけど……うん、そこまで念押します? どんだけごく一部なのだろう……むしろ、どんな作品なのか俄然興味が湧いてきちゃったよ。


 ……ただ、それ以上に気になったのは、当チケットに附随するサービス――当チケットを持って来館したカップルは、それぞれMサイズのポップコーンを一つずつ頂けるというサービスで。……まあ、そういったサービス自体は、人によっては非常に有り難いものなのかなとは思うのだけど――



【……しかしですね、斎宮さん。やはり、カップルでないのにそのように偽るのは、些か罪悪感が生じてしまうと言いますか……】


 そう、再び躊躇いがちに告げてみる。当然のことながら、カップルは自己申告制。なので、実際にはそうでなくても、お客さん側がそう言い張ってしまえば真偽を確認する術などないわけで――


「……ふーん、そんなに嫌なんだ? あたしとカップルなんて思われるのが。まあ、だったら無理にとは言わないけど」

「……へっ? あっ、いえその……」【……その、そんなことは決してありません……】


 そう、冷気の籠もったでこちらをじっと見つめ尋ねる斎宮さん。……うん、そう言われてしまえばもう何にも言えないよね。まあ、もちろん嫌なわけないんだけども。





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