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声にならない想いを乗せて  作者: 暦海


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期末テスト

 ……ただ、そうは言っても。



【……ありがとうございます、斎宮さいみやさん。それも、全て斎宮さんのお陰です】

「……へっ? あ、いやそんなことは……」

【……ですが、本日もそうでしたが、全然話せない……いえ、それ以前にほとんど声も発せないのは相変わらずです。なので、些かながら僕の印象が変わったとて、それほど好転するようにはどうにも思えなくて……】


 そう、率直な感想を伝えてみる。すると、僕の疑問に納得したようにそっと微笑む斎宮さん。そして、


「……まあ、新里にいざとがそう思うのも無理ないかもね。でもさ、話せなくたって印象ががらりと――それこそ、正反対みたいになることだって珍しくないと思うよ」

「……? それは、どういう……」

「だって、人は主観の生き物だから。それまでは全然話さない貴方に対し、根暗とか無愛想といった印象を抱く子も多かったと思う。


 でも、さっきも言ったように、最近の貴方は随分と明るくなった。そして、それに伴って潜んでいた魅力も顕在してきた。

 確かに、まだほとんど話せないという事実そのものは変わってないのかもしれないけど……それでも、印象は確実に変わる。それまでの、恐らくはマイナスの印象からプラスの――例えばクールとか落ち着いてるとか、その子達の中でそういった印象に変わってると思うよ」



 そう、穏やかに微笑み説明する斎宮さん。……うん、斎宮さんには申し訳ないけど……それでも、僕がモテるなんてやっぱり未だに信じられない。それでも……彼女の説明――同じ事実においても、主観によって印象が変わるという説明は、十分に納得のいくものだった。


 ……そして、確かに今日は以前までの試験――手前味噌で大変恐縮ながら、それまでも学年1位だったのですが――それらのどの時よりも、称賛の声を掛けにきてくれた人が多かった。例えば、今日声を掛けにきてくれた西条さいじょうさんは、今日が初めてだったわけだし。……そっか。僕も、少しくらいは――



「――でも!」

「……へっ?」


 少しくらいは――そんな思考の最中さなか、突如大きな声を発する斎宮さん。……ん? いったい、どうしたのだろ――


「……えっと、その……ちょっとモテるようになったからって、調子に乗らないこと! 新里なんて、全然大したことないんだからね!」

「ええっ!?」


 ここに来てまさかのどんでん返し!? いや流石にびっくりですよ斎宮さん!! 罵倒するなら罵倒すると先に告知して頂かないと僕だって心の準備というものが……そもそも、さっきまで褒めてくれていたはずなのに突然どうして……まあ、大したことないのは事実だけども。



「……うん、まあ、大したことないっていうのは冗談として……とにかく、その……いや、そもそも言う必要ないか、こんなこと。むしろ、少しくらい調子に乗らないと謙虚にすら近づけないレベルだし」

「……えっと、はい……」


 すると、何処か呆れたように微笑み告げる斎宮さん。はい、とは言ったものの……えっと、結局はどういうことだろう。調子に乗った方が良いの――


「――まあ、それはさておき」


 すると、不意に両掌を軽く叩きそんな前置きをする斎宮さん。そして、


「ねえ、新里。良かったら、次の期末テストで勝負しない? それで、勝った方が負けた方のお願いを一つ聞くの。あっ、もちろん常識的な範囲でのお願いだから安心して?」

「……なるほど」


 何がなるほど、なのか自分でも分からないけど……ともあれ、彼女の提案にそんな言葉を返す僕。お願いを一つ聞く、なんて言うと中々に仰々しい響きだけど……でも、正直その辺りの心配はほとんどない。だって、斎宮さんなら、僕でもある程度容易く応じられるようなお願いを選んでくれるだろうから。なので、


【……分かりました。それでは、お手柔らかにお願いします】

「ふふっ、何それ。むしろ、あたしの台詞なんだけど? あっ、そうだ――」


 すると、少し可笑しそうに話しつつふと思い出したように呟く斎宮さん。そして、



「そう言えば、今まで一度も言ってなかったけど……学年1位おめでと、新里」






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