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隠れる必要ありました?
どうして、郁島先輩がここに……いや、もちろん来てはいけないわけもないんだけど。ただ、もう生徒会の活動もないはずなのに、どうしてかなと思っただけで……いや、関係ないか。そもそも生徒会室に近いわけでもないし、ここ。
それと、ついでに一つ……別に、隠れる必要なかったよね、僕。ただ、何か反射的に……
……とは言え、今更このタイミングで出ていくのは些か以上にハードルが高い。ひとまず、ここはこのままお二人が通り過ぎるのを待って……あれ、どうしてか急に止まって……それに、そう言えばさっきの台詞はどういう意味――
「…………え?」
思わず、目を疑った。何故なら――人目を気にするようにさっと辺りを見渡した後、すっと身体を寄せ合い唇を重ねるお二人の光景が、僕の視界にまざまざと映し出されていたから。