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……まあ、そりゃそうだよね。
「ごめんね、新里。仕事終わりなのに、つき合わせちゃって」
「……あ、いえ……」
帰路の途中、住宅街にひっそり佇む静閑とした公園――そこにひっそりと在する、小さな木組みのベンチにて。
少し微笑みそう話す斎宮さんに対し、首を横に振り答える僕。……いや、答えられてないか。ともあれ、僕の意図するところは伝わったようで、クスッと笑う斎宮さん。その笑顔が本当に眩しく、僕なんかに向けてもらってることがなんだか申し訳なく思えてくる。実は僕ではなく、僕の遥か後方にいる人に向けていると告げられても、すんなり納得できてしまうくらいで――
「……どうしたの? 新里」
「……あ、いえ……」
一応、後ろを振り向いて見るも誰もいない。再び前へ視線を戻すと、あからさまに怪訝な表情を浮かべる斎宮さん。……まあ、そりゃそうだよね。