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……まあ、近い内に機会があれば。
ところで、それはそれとして――
「……あのさ、新里。その、ごめんなんだけど……あたしまだ、新里の分は用意できてなくて」
【あっ、いえいえ全然お気になさらず! 斎宮さんに受け取って頂けるだけで、僕としては十分に嬉しいですから!】
少し控えめにそう告げると、両手を大きく横に振った後ささっとペンを走らせ答える彼。これまた彼らしい、予想通りの優しい反応ではあるけれど……うん、これはこれで複雑だったり。
ちなみに、彼以外のクラスの友達――例えば、小林くんや彩華には既に渡している。あと、巧霧にも渡そうかと考えたけど……その、どんな表情で渡せば良いか分からなくて。……まあ、近い内に機会があれば。