表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/477

雨音だけの帰り道

「――ほら、もっとこっちに詰めないと濡れっぱなしだよ新里にいざと

「……いえ、ですが――」

「……いいから、もっとこっち」


 そう言って、傘を持つ僕の右腕を取り自身の方へと引き寄せる斎宮さいみやさん。……あの、それだともうほとんど密着して――


 ……だけど、どうにも離してくれる気配もない。離したら逃げるとか思われてるのかな? ……いや、僕としてはもちろん嫌なはずもない。ないのだけど……その、さっきから心臓ここが耳をつんざくほどに脈を打って……聞こえてないかな?


 それから、暫し無言のまま家路を歩く僕ら。彼女から話し掛けてこないのは、この状態ゆえペンを握れない僕を気遣ってくれているのかな。ともあれ、先ほどから耳に入るはやはり少し強まってきた雨音だけ。……それでも、こんな沈黙もどうしてかすごく心地好くて。


 今日は、もうこのままで――そんな思考が脳裏を支配するものの……それでも、流石にそろそろ聞いておく必要があるよね。

 すると、何かを言いたげな僕の様子に気が付いてくれたのか、言葉を待つように僕の瞳をじっと見つめる斎宮さん。そんな彼女に対し、僕はどうにか声を発して――



「……あの、斎宮さん。その……本日、オチのようなものは――」

「何の話だよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ