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不可避な未来?
さて、結論から申し上げると一応はどうにかなった。会話どころか、ほとんど声すら発せない僕を知ってくれているからだろう――僕からは紙に書いて伝えてくれれば良いと、斎宮さんの方から言ってくれたから。……うん、本当にありがとう、斎宮さん。
そして、斎宮さんも家で料理をする機会は多いみたいで、初日ながらもうほとんどのメニューを作れるようになっていた。この分だと、僕の教えが要らなくなるのも時間の問題だろう。そして近いうちに、厨房を一人で担当するようになって――
……あれ、そうなると僕、不要になるのかな? 斎宮さんならきっと問題なく接客も出来るだろうし、間違いなく大きな戦力になる。更には、彼女に会いに来店なさるお客さんもきっと多く現れる。そうなると、調理しか出来ず集客能力も皆無な僕は、必然そのうち不要に――
「――ねえ、新里。今、ちょっと時間あったりする?」
「…………え?」