新たな一面?
「…………へっ?」
すると、ポカンと口を開き呆然といった様子の斎宮さん。あれ、ご自身で尋ねたのにこの反応はどうしたことか。
「……えっ、あの、ほんとに? ほんとに、そんなに良いと思ってる?」
そして、何処か反応を窺うように再び問い掛ける斎宮さん。心做しか、雪のように白いその頰が朱に染まっているようにも見える。
……ひょっとして、僕の言葉がお世辞の類だと思われているのかな? だとしたら、僕としても甚だ不本意であるからして――
【もちろんです、斎宮さん。神聖な装束に身を纏い、人々の祈りを神様に届ける斎宮さんのお姿は何とも形容しがたいほどに尊く――】
「かつてないほどの絶賛だったよ!! というか巫女さん好き過ぎない!?」
【いやー、こうして新年早々、斎宮さんの新たな一面をお目にかかることができ大変喜ばしく――】
「こっちの台詞なんだけど!?」
すると、目を見開きつついつもながらの鋭いツッコミを入れる斎宮さん。うん、やっぱり彼女はこうでなくっちゃ。
「……ま、まあでも? もし、新里がこういう格好が好きだって言うなら……その、たまになら、してあげないこともないけど……」
そんないつもながらのやり取りに心地好さを覚えていると、ふと少し目を逸らしつつそう口にする斎宮さん。こちらがお願いすれば、今後も巫女さんの格好をしてくれるかもしれない、ということだろうか。そんな有り難い申し出に、僕はさっとペンを走らせ答える。
【――ありがとうございます、斎宮さん。ですが、先ほども申し上げたように、巫女さんとは人々の祈りを神様に届ける神聖な存在であり、そのお役目を一心に務めるその尊いお姿に強く心惹かれるわけなのです。であるからして、別段そういったコスプレに関心があるわけではなく――】
「意外と面倒くせえなぁ!!」