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嫌なわけではないのですよ?
それから、斎宮さんに手を引かれ入ったのは――つい先ほどまで、彼女が凭れていた可愛らしい雑貨屋さん。もちろん、一緒に雑貨屋さんに入ること自体に何ら問題などないのだけど……ただ、彼女が僕の手を引いたまま入店しちゃうものだから、店員さんやお客さん達になんだか生暖かい笑顔を向けられてしまって……うん、なんかすっごい恥ずかしい。
ともあれ、一緒に可愛らしい雑貨達を鑑賞しながら一回りした後、折角なのでお互い一つずつ選んでプレゼントしないか――そんな旨の提案を受け、些か逡巡しつつも最終的には承諾した。
……いや、もちろん嫌なわけではないのですよ? ですが、この僕が誰かに喜んで頂けるような物を選べる自信など、当然ながら皆無でありまして……はい、言い訳ですごめんなさい。