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帰り道
「今日はありがとね、新里。いろいろ教えてくれて」
「……あ、いえ、その……」
「それにしても、ちょっと意外だった。だって新里、学校にいる時と全然違うっていうか、こんなにテキパキと仕事するんだなぁって感心しちゃった」
「……あ、その、あり……」
それから、数時間経て。
茜色に染まる空の下、隣を歩きながら話し掛けてくれる斎宮さん。一方、僕の方はというと……相も変わらず、返答もままならなくて。
そもそも、どうして彼女が僕なんかの隣を歩いているのか――それは、どうやら途中まで帰り道が同じみたいだから。同じ時間に終わり、どうせなら一緒に帰ろうとなんと彼女の方から提案してくれて。