どうしても伝えたいこと?
【……あの、斎宮さん。本当に、今のご対応で良かったのでしょうか……あっ、いえ間違っていたとは思いませんが!】
それから、ほどなくして。
一人勝手に狼狽えつつ、些か躊躇いがちにそう尋ねてみる。今しがた伝えたように、彼女の対応が間違っていたとは思わない。実際、郁島先輩に告白するという計画は事実なわけだし。だけど――
「……じゃあ、逆に聞くけどさ。新里は、あたしにどうしてほしかったの?」
「……え?」
突然の思い掛けない問いに、ポツリと驚きの声を洩らす僕。……だけど、よくよく考えれば別段驚くことでもないのかも。こちらが意見を求めたのだから、相手もこちらに意見を求めるのはごく自然なことだし。……えっと、僕の意見は――
【――あの、斎宮さん。その、申し訳ありませんが……少しの間、席を外しますね】
「……へ?」
そう伝えると、ポカンと口を開け小さく声を洩らす斎宮さん。どうやら、今度はこちらの返答が思い掛けないものだったようで。まあ、理由については後でお話するとして、ともかく今は……あっ。
「……どしたの? 新里」
そう、今度は不思議そうな表情で尋ねる斎宮さん。まあ、それもそうだよね。勇んで教室を後にしようとした僕が、どうしてか扉の辺りで一度立ち止まり彼女の下へ戻ってきたのだから。だけど、出ていく前にどうしても伝えておきたいことがあって――
【……ところで、今はどうでもいいことだと思われるかもしれませんが……先月末、既に会長は生徒会を引退されているので、正確には郁島元会長ではないかと――】
「ほんとにどうでもいいわ!!」