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一風どころか何風も?
ともあれ、それぞれポップコーンを片手にシアターへと向かう僕ら。ちなみに、斎宮さんは暫し悩んだ末マリトッツォ味を選んだのだけど、もし口に合わなかったら僕にくれるとのこと。うん、もしそうなったらその時は有り難く頂くけども、願わくばお気に召し……まあ、僕が作ったわけでもないけど。
「いやー、楽しみだね。果たして、どんな奇抜な作品なんだろ」
【そうですね、斎宮さん。実は、僕もそこを期待してました】
シアター内にて、ポップコーンを摘みつつ無邪気な笑顔で話す斎宮さん。良かった、今度はほんとに楽しそうだ。
……ところで、それにしても……意外と食べてるね、マリトッツォ味。意外と美味しいのかな?
まあ、それはともあれ彼女の期待は僕も大いに理解できる。なにせ、本当にごく一部の映画ファンの方々の中で話題――となると、一風変わったお話であろうことまでは想像に難くない。そして願わくば、僕なんかの想像も及ばないような、一風どころか何風も変わったお話であることを大いに期待して……まあ、何風なんて言い回しがあるのかどうかは定かでないけども。