11/477
ちょっとした疑問でして。
――ところで、それはそれとして。
「……あの、蒼奈さん。ですが、どうして突然……あっ、いえ駄目というわけでは全然なくて!」
「ふふっ。そんなに焦らなくても、ちゃんと分かってるよ朝陽くん」
一人慌てて弁解する僕に対し、少し可笑しそうに微笑み答える蒼奈さん。……ふぅ、良かった。
どうして――というのは遠回りに不満を示したわけでなく、本当にただ疑問に思っただけ。と言うのも、当カフェ――琴乃葉月では、基本的にアルバイトを募集していないから。
尤も、繁盛期などのどうしても人手が必要な時に限り臨時で数名ほど募集をかけることもあるみたいだけど……基本的にはご夫婦と蒼奈さん、そして今年から僕を含め四人で回している。……うん、ほんと、どうして雇ってもらえたんだろう、僕……いや、当然ながら感謝しかないんだけども。