印象
……ただ、そうは言っても。
【……ありがとうございます、斎宮さん。それも、全て斎宮さんのお陰です】
「……へっ? あ、いやそんなことは……」
【……ですが、本日もそうでしたが、全然話せない……いえ、それ以前にほとんど声も発せないのは相変わらずです。なので、些かながら僕の印象が変わったとて、それほど好転するようにはどうにも思えなくて……】
そう、率直な感想を伝えてみる。すると、僕の疑問に納得したようにそっと微笑む斎宮さん。そして、
「……まあ、新里がそう思うのも無理ないかもね。でもさ、話せなくたって印象ががらりと――それこそ、正反対みたいになることだって珍しくないと思うよ」
「……? それは、どういう……」
「だって、人は主観の生き物だから。それまでは全然話さない貴方に対し、根暗とか無愛想といった印象を抱く子も多かったと思う。
でも、さっきも言ったように、最近の貴方は随分と明るくなった。そして、それに伴って潜んでいた魅力も顕在してきた。
確かに、まだほとんど話せないという事実そのものは変わってないのかもしれないけど……それでも、印象は確実に変わる。それまでの、恐らくはマイナスの印象からプラスの――例えばクールとか落ち着いてるとか、その子達の中でそういった印象に変わってると思うよ」