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声にならなくて……
『――なあ、新里。お前はどう思う?』
『……へっ? あ、あの、その……』
『……ったく、お前っていつもそうだよな。全然、俺らと話そうとしねえっつうか』
『……あ、いや、ちが……』
『ああ、もういいよ。なあ、弘樹はどう思――』
中学二年生の、ある夏の日のこと。
話を振るも、一向に返答をしない僕にうんざりした様子の男子生徒。……せっかく話し掛けてくれたのに、申し訳ないことこの上ない。
尤も、こんな場面はこの時に限った話でなく、とうの昔からこんな感じで……そして、今も――