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エピローグ

 なんとか中編で収められました。読んでいただきありがとうございました。


 誤字報告、感謝いたします。

 聖女様は本物でした。御神託を授けてくれる貴いお方でした。

 ご本人は、神代の知識の伝言係でしかないと謙遜されます。もたらされた知識を活用していく方々の功績だと。


 確かに、そうとも言えるでしょう。公爵家、侯爵家、そして王家が先頭に立って、どんどん新しいものが作られています。それは新しい技術や製品だけでなく、社会の仕組みそのものにも及んでいます。


 ブンメイカイカとか、サンギョウカクメイとか。

 ゴイッシン、タイリョウセイサン、ケイエイシャ、ロウドウシャ等々、初めて聞く言葉が王宮のサロンで交わされるようになりました。


 制度改革の象徴として有名なのは、近衛騎士でしょうか。

 王族の警護のみを行うのが近衛騎士、王宮と旧市街、通称貴族街の警備を行うのが近衛兵と、役割分担がありました。

 ですが、現在は全て近衛騎士の任務になっています。


 近衛騎士と言えば、エリート中のエリート、雲の上の存在だったのは昔の話。

 王位継承権を所持している高位貴族の皆様は、改革のお手伝いをするため家に戻ってしまわれました。


 今では、騎士爵さえ持っていれば誰でも近衛騎士になれます。

 騎士爵は一代限りの下級貴族。平民でも比較的簡単に叙爵できる階級です。王立中央高等学園を卒業すれば、叙爵に必要な功績として認められるほどです。


 今の近衛騎士には、元近衛兵の方や、平民街を警備する王都警備隊出身の方が大勢いらっしゃいます。私の元縁談相手、スウェン・カスター伯爵令息もそのお一人です。




 お嬢様のお供で王宮にあがるたび、私はスウェン卿とお会いすることになりました。

 家から独立し、騎士爵になられたスウェン卿は、私にプロポーズしてくださいました。


 近衛兵だった頃のスウェン卿は、侯爵家の居候でしかない不安定な立場でした。とても婚姻はできないと諦めていたと仰います。

 

「近衛騎士として、王宮警備の(にん)を務めております。精進し、王族方の警護を(まか)せられるよう励みます。アンジェリン嬢のお仕事の邪魔はしないと誓います。どうか人生を共にすること、考えてはいただけませんか」


 お嬢様からはロマンチック成分が足りないと酷評されたプロポーズですが、私は誠実な方だと安心できました。

 一生独身を貫く覚悟でしたが、考えてみても良いかも知れません。


 お嬢様が王太子殿下と御成婚なさった暁には、私も王宮にお供することになっております。

 王太子殿下からは、将来の女官長も視野に入れてくれと言われました。官僚に引き抜くのは諦めるからと。

 スウェン卿と職場結婚、それも有りかも。


 実家の父に結婚を考えていると手紙を出したところ、なんと直接セリアム公爵邸まで駆けつけてきました。

 ワージー子爵家は公爵家の寄り子と言う訳ではありませんが、私の家族と言うことで、使用人用の宿舎の使用許可が下りました。


「アンジェのお父様でしょ。わざわざ宿を取るなんて水臭いわ。居候の近衛兵がいなくなって、部屋はいくらでも余ってますもの。有効利用しないと損よ」


 ご温情、ありがとうございます、お嬢様。


 父は複雑な顔をしていました。

「お前が結婚できるのは、喜ばしいことだ。応援したいのは山々だが、相手がなぁ。酒の席の失言とはいえ、我が家乗っ取りを口にした御仁というのが、なぁ」


 そのことについては、ご本人の口から直接謝罪を受けております。

 冷や飯ぐらい扱いの近衛兵に出されて、懲りたと。二度と不用意な真似はしないと約束していただきました。


「一度失敗しているからこそ信頼できるということもありますわ。用心深くなりますもの」


 父は大きく息をつきました。

「そうか、(かば)うか。もう、お前の心は決まっているのだな。なら、もう何も言うまい。幸せになりなさい」

 そう言って、笑ってくれました。




 カスター伯爵家へご挨拶に(うかが)ったり。


 寄り親の伯爵様から祝福を受けたり。


 王太子殿下と王太子妃になられたお嬢様の肝入りで、身分不相応な豪華な結婚式を挙げることになったり。


 離れて暮らしていたのに何故かシスコンになった弟が突撃してきたり。




 色々ありましたが、それはまた別のお話です。






 終わったー。

 とりあえず、登場人物全員にオチを付けられました。アンジェリン嬢に幸あれ。


 お星さまとブックマーク、そしてシリーズの他の話も、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 正直迂闊で口の軽いバカボンと一緒になるのがいいとは思えないなぁ
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