安心できる場所
住んでいた家から、大人に手を引かれて別の場所へ連れてこられた。
「今日からここがあなたのお家よ」
ここでは、殴られたりしない。
ここでは、食事をぬかれたりしない。
ここでは、理不尽なことで悪口を言われたりしない。
そう、らしい。
ここでは、安心していい。
らしい。
連れてこれらた場所では、同じ年くらいの子供達が大勢存在していた。
暗い顔をした子供や、気弱そうな顔をした子供、元気そうな顔をした子供や、楽しそうな顔をした子供、色々な子供がいた。
彼等は、僕と同じらしい。
家族にギャクタイされて、ホゴされてここに来たらしい。
ここでは、安心して暮らせると言われて。
そう?
本当にそうなのかな。
目の前、子供達はみんな楽しそうに玩具で遊んでいたり、走り回ったりしている。
僕を危険にさらすものは、まるで見当たらなかった。
怖い大人もいない。
見守っている大人は優しい顔をしている。
怖い顔なんてどこにもない。
なら、安心して、いいのかもしれない。
僕は少しだけ泣きたくなった。
ずっと、怖い場所にいたけど、ここならきっと怖い思いに悩まされる事なく過ごせるんだ。
子供達を見守る職員たちは、にこにこしながら安心していた。
つれてきた当初は不健康そうな子供もおおかったが、日が経つにつれて顔色がよくなってきた。
ちょっと優しくすれば、すぐ結果がでるなんて、
子供は単純だ。
「これで、今月のノルマは達成できそうですね」
「そうね。先月は材料不足だったからボスに怒られちゃったけど、今月なら大丈夫そう」