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第二十一話:それぞれの理由

 その世界は、大雑把に言えば二つの種族による二つの国に分断されていた。

 人間と、獣人という二つの種族。特に獣人は《ワイザー》と呼ばれる特別な存在だった。

 彼らがその世界の歴史にいつ頃から現れ始めたのかは定かではないが、獣としての特徴、能力を残しながらも、人間としても進化した彼らはまさしく奇跡的な存在だった。

 だが、そんな彼らを快く思わない者達がいた。

 他でもない、人間そのものだ。

 従順な道具、あるいは家畜。そんな風に動物を見てきた人間達は彼らの存在が許せなかった。

 『動物のくせに』と、気がつけば自分達より優れてしまったっていた彼らに嫉妬し、疎ましく思った。そんな醜い思いからの人間による獣人への差別、迫害は日に日に色濃く現れた。

 両種族の溝は深まるばかりで、いつしかそれは『戦争』という形で絶対の決別として明確なものとなった。

 人間は“人間モドキの化け物”を根絶やしにするためにあらゆる手段を用いた。一方の獣人達も殺されないために、生き残るために戦った。

 そんな時、獣人達が自分達の持てる限りの技術、オカルト的要素の知識等を用いて、戦争に勝利するための“ある兵器”を作り出した。

 彼らの世界において、絶対的な力の象徴たる『鬼神』の力を再現してみせたそれは『鬼神刀』と名付けられた。

 その能力は単純に二つ。

 一つは持ち主の『超』肉体強化、《鬼人化》だ。

 刀を通して所有者の肉体に変化をもたらすという、言ってみればそれだけのもの。しかしそれによって得られる力は確かなもので、完全に《鬼人化》する事で人間達のほぼ全ての兵器を無力化するほどの体を手に入れる事ができた。

 そしてもう一つが鬼神刀の“成長”だ。

 生き物が生まれながらに持つ力、活力や生命力と言うべきか。そういった生き物を生かすための根底たるものを、この鬼神刀は喰らって力とする。他者を切れば切るほど、血肉を浴びれば浴びるほどその切れ味、破壊力は増していく。生き物にもよるだろうが、作成者達の計算としてはざっと一万人もの人間を切れば大陸一つを両断できるとの事だった。

 あまりにも圧倒的。この二つの能力を駆使すれば必ず戦争に勝利する事ができると、誰もが確信した。

 だが、事態は思わぬ方向へと進んだ。

 鬼神刀が、暴走したのだ。

 いや、非科学的なものに頼ってしまった時点で、そうなる事はむしろ必然だったのかもしれない。

 鬼神刀には作り手にすら知り得なかったもう一つの能力、致命的な欠陥が存在した。

 所有者の感情を増幅させるという、隠された効果だ。

 その者が力を求める理由。最も強き思いを膨れ上がらせる。そして、この時獣人達が抱いていた最も強い気持ちは人間への『憎悪』だった。

 後は語るまでもない。鬼神刀を持った獣人の戦士は自らの憎しみにつき動かされ、人間達を虐殺し、最終的には敵味方関係なく全てを破壊し尽くそうとした。

 これを止めるために、敵であったはずの人間と獣人は協力し、そしてついに見事にこれを止めて見せた。皮肉にも、自分達を追い詰める結果を作り出したオカルト―――魔術による『封印』によって、鬼神の名を冠した刀は戦士の亡骸共々眠りについた。

 その後は二つの種族は和解し、平和な世界が作り上げられた。これまた皮肉にも、大量殺戮兵器が平和の掛け橋となったのだ。

 それから数百年間、封印された鬼神刀はとある小さな村に保管され続け、人々は確かな平和を生きてきた。

 だが、ある日の事だ。

 決して解けるはずのない封印が、解けてしまったのだ。

 何が原因だったのかは誰も分からない。ただ、『不思議な光を見た』と言う者がいるだけだ。

 そして、更に事態は混乱へと突き進んだ。

 鬼神刀の解放と同時に、空に亀裂が走り、巨大な黒き『穴』が生まれた。

 その穴は鬼神刀とその村の長の孫娘の少女を飲み込み、静かに消えたという。

 その少女と鬼神刀の行方は、誰にも分からなかった。










「―――とまあ、長々と語って何なんですが」


 どこかのゲームの設定のような事を、本人が言うように長々と語ってみせたガイアは手にした報告書をこちらに放り投げる。それをキャッチする煌夜に完璧な営業スマイルを浮かべて、


「君らの初任務、この物騒な刀がこの街のどこかにあるらしいので、パパーッと見つけて回収してきてください」


 サラッとそんな事を言ってのけるガイアに煌夜は、


「………あのさー」


 何となく頭を押さえる煌夜にガイアは、


「オヤ、なにかご不明な点でも?」

「まあ、そうだね。っていうか、そんな危険そうな任務を俺達に任せていいのでしょうか?」


 この場にいる以上、任務を与えられる事は仕方がないというのは承知の上ではあるものの、自分達には荷が重いのではないだろうか? 一口に回収と言っても、そこらへんにおっこちている訳でもあるまい。受け取った報告書をざっと見る限り、この『鬼神刀』とやらがこの世界にやって来たのはつい最近らしいが、それでも確実に24時間以上経っている。誰にも見つからずに済んでいる可能性はちょっと低いだろう。

 するとどうなるか。答えはすっごく危険そうである。なんせ一度は世界を壊しかけた魔刀である。できれば関わりたくないというのが正直な思いだ。


「っていうか、あんまり危険な任務は任せないとかなんとか言ってなかったっけ?」


 煌夜の指摘にガイアは嘆息する。


「そのつもりだったんですがねー。今回はちょいと特殊ですヨ。なんせ、『狭間世界』が関わっていますから」


 『狭間世界』という単語にピクリ、とルミアのまつげが小さく揺れた。


「報告書にある『穴』というのは、恐らくその世界に“発生”した『狭間世界』です。」

「発……生?」

「ストップ。そこに疑問を持つのはまた後で。今は黙って任務の事について聞きなさい。で、あの空間について調べている我々としては、なるべくあそこに関わる事件に触れてもらって、ルミア君に記憶を取り戻してもらいたい。故に今回のような多少の危険は仕方のない事なんですヨ」


 ガイアやカノンが所属している組織、『世界を守りし者達』は存在する様々な異世界の治安維持、そして『狭間世界』の調査を目的としている。そんな彼らからしたら、ルミアは貴重過ぎる情報源ではある。なにせ行って帰ってきただけの煌夜とは違い、彼女は最初から調査対象たる『狭間世界』にいたのだから。


「普通に他の構成員に任せるって手もあるんですが、余計な混乱をさせないよう事件を解決したらその事件の存在そのものを揉み消してしまうというのが我々の鉄則ですからネ。そうなるとまたいちいち調べたりしなきゃならなくなって色々と面倒です。それに、後から資料で見るより実際に目の当たりにした方が、きっとルミア君もよく思い出せると思うヨ」


 そこまで話してから、ふとガイアはおかしそうに笑う。


「まあ、それを抜きにしても、この任務は煌夜君には無視できないものだと思うケド」

「? なんで?」


 首を傾げる煌夜に対して、ガイアは一旦間を置いてから、


「君のお友達が、獸人の少女と行動を共にしているみたいだからだよ」


 え? と煌夜の頭が真っ白になる。友達? 一体誰が――――!

 中身の白くなった頭でそこまで思考して、考えるまでもない事に気がついた。

 いるではないか。いつも頼まれてもいないのにやたらと元気で、何故か今日に限っていまだ姿を見せてなかったヤツが。


「まだ不確かな情報だけどネ。でも確実であろうとワタシは思うよ。なんていったかな、あの赤毛の少年は?」


 そして、煌夜の予想を肯定するガイアの言葉。

 煌夜は分からなかった。


「……なんで、あいつが?」


 そんな事を思う。

 あいつは異世界なんかとは関わりのないはずの人間だろうに、と。

 しょっちゅう喧嘩ばっかりしていて、しかもいつも勝手に自分を巻き込んで、でも実は動物とか超好きで、どこか憎めない性格をしている、そんな『普通』の人間だろうに、と。


「さあ? そこらへんは本人に聞いてみない事には何とも。でも、彼と一緒にいるその獸人の少女は間違なく鬼神刀の回収に向かうだろうね」パラパラと別の資料を捲りながら、「………少女の一族は鬼神刀を封印した英雄達の末裔らしいし、鬼神刀がどんなものかも伝え聞いているでしょう。少なくとも見て見ぬふりはしないはずです」


 そこまで聞いて煌夜は頭を抱えたくなった。

 あいつなら間違なくその獸人の少女を助けようとするだろう。そこにどんな背景があろうとも、理由など分からなくとも、困っている人間がいたら自分の身を顧みずに迷う事なく手を差し延べる。そういう人間なのだ。


「さて、どうします? この任務、受けますか? それとも他の誰かに任せますか?」


 ガイアが問うてくる。

 提示された選択肢は単純に二つ。

 行くか行かないか。

 受けるか受けないか。

 助けるか任せるか。


「…………鬼神刀がどこにあるのか、調べはついてるのか?」


 つまりは、それが煌夜の答えだった。

 行かない訳にはいくまい。

 行かねば、きっと色々と自分は後悔してしまう事になる。

 ガイアは満足げに笑う。


「流石に現在地までは分かりかねますが……でも大丈夫ですヨ。ルミア君が案内してくれるでしょう」


 なに? と煌夜はルミアを見る。彼女は驚いたように目を見開いていた。


「前に彼女はワタシが異界の者だと一目で看破してみせたでしょう? そこから来たワタシの勘なんですが、君は多分異世界の存在を感じ取る事ができる…………違うかな?」


 試すようなガイアの視線に対して、ルミアは引きつった笑みを浮かべる。


「………つくづく気に入らないヤツだ。ああ、そうだ。私は異世界の存在を気配として感じ取る事ができる」

「では鬼神刀の在り方は分かりますか?」

「………分かる。まだ小さいが、嫌な気配を感じる」


 うんうん、とガイアは二回頷いて、


「なら、問題ありませんね。ではお願いしますよ二人とも♪」

「おい、まだ私は引き受けるとは――――」

「ルミア」


 抗議の声を上げようとしたルミアを遮ったのは煌夜だった。


「嫌かもしれないけどさ、頼むよ。ほら、何か思い出すきっかけが手に入るかもしれないんだし、ね? 頼むから」


 頭を下げて懇願してみると、「む……」と黙ってしまった。煌夜はこれを承諾のサインだと受け取った。手を差し出し、渋々といった感じの彼女の手を引いて出口のドアへと向かう。


「じゃあ、行ってきます」

「はーい頑張ってネー。死んだら骨は拾ってあげますヨー♪」


 …………何だかとても不吉だった。










「―――それで、実際のところ、何を考えているんですか、貴方は?」


 部屋に残された二人のうち、カノンがそう言ってガイアへと視線を向けた。


「彼らにあんな任務を任せた事、貴方には一体どんな思惑があるんですか?」


 彼女は問い掛ける。

 今回の事は、見るからに違和感だらけであった。正規の手続きや訓練もなしに『世界を守りし者達』となった、言ってしまえば一般人と大差ない彼ら(少なくとも煌夜は)をこの任務に就けるのはどう考えてもおかしかった。

 故に彼女は問い掛ける。

 彼が語った諸々の事情。あれははあくまで建て前である事は分かっていた。言うなれば、二人を差し向けるための口実だ。その裏では、何を目的としているのか?


「……彼らが『鍵』となる存在だというのは、前に話しましたよね?」


 ガイアの言葉に彼女は頷いた。

 天神煌夜、そしてルミア。この二人は『狭間世界』という存在を解明するための『鍵』となる………らしい。あくまでガイアの話ではだが。


「彼らは『鍵』となる存在ではあるけれど、『鍵』として機能するにはまだ未成熟なんです。ならば話は簡単、彼らの成長を促してあげればいい……と、それだけの話ですヨ。実際のところそれ以上でも以下でもありません」

「……この任務が、彼らを『鍵』とするために必要な事だと?」


 そうです、と答えるガイアをカノンは訝る。本当にそれだけなのだろうか?


「あ、その顔は疑ってますネ?」


 どうやら顔に出ていたらしい。ガイアは茶化すように言ってから、彼女の頭に右手を置いた。そのままクシャクシャと動かし始めたところで、カノンは自分が今撫でられているらしい事に気がついた。


「疑り深いなあ、カノン様は。もう少し自分の使用人の言葉を信じてくれてもいいんじゃないデスカ?」

「………よく言いますね。貴方がアルセルナ家に来てから、私の前で一度だって使用人らしく振る舞った事なんてありましたか? というか、手を退けなさい。もう子供じゃないんですよ」

「おっと、失礼。イヤ~、この歳になると他人の成長にあんまり関心がなくなってしまうんですヨー」


 微妙に年寄り臭い事を言いつつも、頭からは手をどける。


「では、ワタシはちょいと本部の方に用があるのでこれで失礼しますね。しばらくしたら戻って来るので、いい子で待っててくださいネー」

「ですから……ああもういいです。どうぞいってらっしゃいませ」


 では、と部屋の奥、特殊な方法で空間同士の繋がりを捩じ曲げて作り出した『世界を守りし者達』本部に続くドアへとガイアは消えていった。


「……全く………」


 ポツンと一人残されたカノンは小さく呟く。それから何となく自分の頭に手を当てる。手のひらからはまだ残っている彼の温もりが伝わってきた。

 全く、と彼女はもう一度呟いた。それからぼんやりと考える。

 もう十年近くになるのだろうか。ガイアが彼女の家へとやってきて、こうして一緒に過ごしてきた時間は。

 カノンはある世界の貴族の家の生まれだった。それもそこらの三流貴族とは格の違う、正真正銘の大貴族だ。そしてガイアは、彼女がまだ幼い頃に、文字通り流れつくようにアルセルナ家へと転がり込んだ人間だった。

 あの頃の自分はよくガイアに頭を撫でてもらっていて、またそれが何より嬉しかったりしたものだった。親からの期待より周囲の反応より、まず彼に褒められたいという子供特有の無邪気な想いから色々と頑張っていた。今だって、こうして彼に撫でられる事が嬉しくない訳ではない。嬉しくない訳ではないのだか…………


「私だって、いつまでも子供じゃないんですよ」


 何とも複雑な心境だった。

 紅潮しているだろうその顔を、決して他人には見られたくないな、と彼女は思う。

 特に、彼には。










「少し聞きたいのだが」


 校門から行けば一発で即バレなので裏口から学校外へ出てそのまま街の中を走っていると、並走するルミアがそんな風に口を開いた。


「なんだよ、藪から棒に?」


 心境からか自然と早口になる煌夜に彼女は言う。


「お前は今焦っているように見えるが、それは何故だ?」

「へ?」


 形のいい唇から紡がれたのは、思ってもみなかった言葉だった。


「どうなんだ? お前は何故そんなに焦っているんだ?」

「いや、なんでって……友達を助けたいからじゃ駄目なの?」


 友達が困っていたら助けたいと思うのが普通ではないだろうか? そんな思いから聞き返したのだが、彼女はどうにも納得できないといった感じに、


「やはり、よく分からないな。お前の友達やらが危ないと、お前は焦らなければならないのか?」


 何が言いたいのこの娘?  と煌夜は首を傾げたが、そこでようやく一つの事実に思い至った。


(そうか……ルミアって記憶がないんだっけ)


 ルミアはきっと、煌夜の言う『友達』がどんなものなのか分からないのだろう。だからこそ、それが何なのか理解し難いからこそ、ただ疑問に思った事を素直に口に出している。

 最初にルミアと出会ったのは真っ暗な世界だった。どういう経緯であんな場所にいたのかは煌夜には分からないが、彼女にだって、記憶を失う前には友達がいたに違いないのだ。友達だけではない。家族や故郷、それ以前に『ルミア』という少女を成す『思い出』そのものを彼女は欠落してしまっている。

 あったはずの大切なものが、自覚のないまま失われる。

 それがどれほどの不幸なのかは、きっと失った本人にしか分からない。

 そこまで思考して、煌夜は首を振った。


(俺が勝手にルミアを『不幸』だなんて決めつけちゃいけない……)


 自分は馬鹿だ。いつの間にか他人の境遇に勝手に同情してしまっている。これでは駄目だ。隣りにいる少女は同情なんて望んでいない。

 だから、煌夜は自分にできる事をする。


「……じゃあ、そうだな、ルミア。ここにルミアのための美味しい料理が沢山あったとします」

「ん? なんだ急に?」

「いいからいいから。で、ルミアが食べるはずの料理をルミアがその場にいない間に別の誰かが食べようとしています。さて、ルミアはどうする?」

「殺すな」


 殺しちゃうらしい。


「私から食事を奪う輩はこの手で血祭りに上げてやる!」

「………うん、そんなに飢えてるのかーい、というツッコミはこの際我慢するとして、つまりはそういう事だよ」

「んむ?」


 キョトンとするルミアに煌夜は微笑みつつも真面目な声で、


「ルミアにとって、ご飯は大切なものだろ? それと同じさ。ルミアにとってのご飯が、俺にとっての友達。大切なものを奪われたくない、護りたいって思うんだ。俺にとってはそう思えるだけの価値があるんだよ、友達っていうのは」


 そこまで言ってから、煌夜は首を振った。


「………いや、ちょっと違うかな。俺の場合、それが友達に限らなくても、例えば全然知らない誰かでもいい。その人が泣いてたり苦しんでたりしたら、助けてあげたいって思う。お節介だと思われるかもしれない。馬鹿げてる事なのかもしれない。けど、それでも、俺は誰も苦しんでほしくない。皆に笑っていてほしいんだ。もちろんルミアだってそうだよ」


 偽りのない自分の気持ちを告げた煌夜は、よくもまあ恥ずかしがらずに言えたもんだと我ながらおかしくなって、苦笑した。


「………やっぱりお前はどうしようもないお人好しだな」


 前にも聞いた台詞だが、そこには呆れというよりはむしろ感心したようなニュアンスがあった。


「まあ、どうしようもないお人好しなヤツとはいえ、お前は私の下僕だ。下僕の大切なものを一緒に護ってやるのも、主たる者のつとめだろう」

「……ありがとう」


 煌夜が笑みを向けると、彼女はプイッとそっぽを向いてしまった。『?』と頭に疑問符が浮かんだが、よく見ると彼女の顔がやや赤くなっている。どうやら照れているらしい事に気がつき、ますます煌夜の笑みは深くなった。


「さっさと行くぞ! そこの角を右に曲がれ!」


 照れ隠しのつもりか大声で叫んで速度を速めるルミアを煌夜は追いかける。

 視界に映る自分よりも華奢なその背中が、不思議と頼もしく見えた。






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