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第一話:嫌すぎる登校風景

ようやく、第一話だぁ………。か、書くの辛い……ていうか時間が……。感想とかあったら書き込んでみてください。………主人公とヒロインの出会いは、まだ先……。

 煌夜は遥崎市はるさきしという地に住んでおり、その中にある赤城高校あかぎこうこうに通っている。

 彼の家から学校までは大体二十分、急げば十分ほどでたどり着く。学校開始が九時からなので、家を出た時間を考えれば充分余裕だろう。

 で、彼は現在普段使っている通学路をのんびりと通っている訳なのだが、不思議とそろそろこののんびりタイムが終了しそうな予感がする。

 さーてなんでなんだろうな と煌夜が考えていると、


「おーい!煌夜ー!」


後ろから呼びかけられた。

 ん? と振り向けば後ろから自分に向かって走ってくる人物がいた。

 煌夜と同年代くらいの少年だ。真っ赤に染めた髪をツンツンに立たせ、赤城高校の制服を羽織っている。その中には髪と同じく真っ赤な色の炎が『魂』の形をとっているイラストがプリントされた白いシャツを着ている。どうやら少年の私服のようだが、そのシャツだけで彼のファッションセンスの程度も分かるというものだ。

 追いついてきた彼はそのまま煌夜の隣りで止まった。息切れはしていない。短距離を走ってきたのか体力があるのか。そして彼は煌夜に笑顔をニッと笑いかけ、

「よっ」と片手を上げて挨拶した。

 煌夜も挨拶を返す。


「おはよう、モモ。今日も元気いっぱいだな」


 この赤少年の名は百田太郎ももた・たろう。煌夜以上に冗談みたいな名前だが本名である。

両親と弟(中二)の名前は普通なのだが、彼だけ太郎。本人はこの名前に少々コンプレックスを持っており、小さな頃は彼の名前を馬鹿にしすぎた悪ガキ共をボコボコに叩きのめしたこともある(その後は彼の母親によって彼自身がボコボコにされた。一緒にいた煌夜もボコボコにされるのではとその時は幼いながらに本気で死を覚悟した)。

 そして煌夜の口振りからもわかるように、二人は友達だ。それも小学校からの友人で、いわゆる幼馴染みとか親友とかそういった部類に入る仲だ。故に煌夜は彼を愛称の『モモ』と呼んでいる。

 モモは煌夜の返した挨拶に満足そうに頷いた。


「おう。今日もおれは元気だぜ? 元気が余りすぎてここまで来る途中に因縁つけてきたバカ共を二十人ぐらいぶちのめしてきたしな!!」

「それは………相変わらずご苦労様ですね(その人達が)」

 そう、モモは何かと喧嘩に巻き込まれやすい(原因としては彼の格好だとか短気な性格もあるのだが)。だから彼はとてつもないくらい喧嘩経験値が豊富だ。腕っ節もハンパではない。はっきり言う。鉄バット持ったくらいで安心してはいけない。モモはそんなもの屁にも感じないし、逆にぶんどって反撃されかねないのでむしろ武器なんか持っていたほうがかえって危なくなる。

 この話だけならどんだけ危険な奴だよと思うかもしれない。だが煌夜は、そんな彼の優しいところもたくさん知っている。なので全く怖くなどない。


「うっし!んじゃあ今日も張り切って学校行くか! そんで寝るわ!!」

「そこは嘘でも勉強するとか言えよ正直バカ」

「正直バカ!? そこはバカ正直だろ!?なんかそれだとおれが正直なバカみたいじゃねぇか!」


 気のせいさはっはっはーとか笑って煌夜はごまかした。そして二人は学校へ向かおうとする。

 しかし忘れてはいけない。前述のとおり、モモは喧嘩に巻き込まれやすいのだ。そう、



「ウラァ!待てや赤鬼!!」



こんな感じに。

 あーらまなんざんしょ?と思って二人が振り向けば変な光景が広がっていた。

 ザッと見て十人くらいの、いかにも『僕たち不良でーす♪』といった感じの連中が、物騒にもヘコんだ鉄バットとかヘコんだ釘バットとかヘコんだ木製バットとか持ってそこに並んでいた。並んでいたのだが……何でか彼ら全員ボロボロだった。ある人は鼻血を流し、ある人はだらしなく着崩した制服がさらにだらしなく使い古された雑巾のようになっていて―――ととにかく不良達がみんなボロボロなのである。

 これを変な光景と言わずしてなんと言えばいいのか。

 煌夜はモモに質問する。


「なあモモ」

「あんだよ?」

「この方々はどちら様?ヘコんだバット大好き連合の人間?赤鬼、って呼んだからにはお前の知り合いっぽいけど」


 赤鬼、というのは主に不良達の間で使われているモモの通り名だ。そのあまりの強さと赤さ(格好)からつけられた。桃太郎なのに赤鬼とはこれいかに。

 そんな赤鬼さんは「まさか」と首を振った。


「知り合いなんかじゃねーよ。さっき二十人くらいぶちのめしたっつったろ? その生き残りだな。 追いかけてくるとは思わなかったけどな」

「ああ、なるほど………本当にご苦労様です(彼らが)」


 努力家(?)な彼らに煌夜は場違いにもちょっと感動してしまった。尊敬の念を向けてもいい。

 そして不良の一人のパツキン(死後)がモモを思いっきり睨みつけた。


「赤鬼ぃ!! テメェ逃げられると思うなよ!ぜってーにぶっ殺してやんぜぇ!」


 そのパツキン君に他の連中も続く。


『そうだそうだ!』『逃げられると思うなよ!』『俺らのしつこさ舐めんじゃねえ!』『白服についたカレーのシミ並だぞコラァ!!』『バカかっこわりー例え出すんじゃねぇよ!』『え、でもあれホントしつこいんスよ!取れねーんスよ!俺カレー好きなのにいっつも困っちゃって』『知らねえよ!テメェのカレー好きとかどうでもいいわ!!無意味かつさり気なく実は家庭的でしたって面見せてんじゃねぇよ!』等々。

 彼らは一度顔を見合わせてから再びこちら(正確にはモモ)を見て、


「そういうことだコラァああああああああああああああああああ!!」


 どういう事だ。


「あー……つまりなんだ」モモは面倒臭そうに呟いてからギンッと彼らを睨み、低い声で言った。


「テメェら、本気でぶっ殺されたい訳か?」


 うっ……。と不良達がたじろいた。その時のモモの眼光は、まさしく鬼と呼ぶにふさわしい。情など微塵も感じさせない。煌夜もモモと友達でなかったら大変ビビってたかもしれない。

 だが彼らはたじろいただけで決して退こうとはしなかった。プライドだろうか、退くに退けないらしい。


(どうしようか……間に割って入って止めるべきか?)


 と、まさに一触即発な状況で、例のパツキンが煌夜を見た。


「あ? て、テメェ赤鬼のダチか?」


 やはり怖さを抑えきれないのだろう。その声は確かに震えていた。

 初めて話を振られた煌夜は

「へ? あ、はい」なんて思わず敬語で答えた。

 それを聞いたパツキンは顔をしかめると、


「………じ、じゃああれだ。お、オレら今からコイツぶっとばすから、さ、さっさと消えろ」


震える声でようやくそれだけ絞り出した。

 やっぱりビビっているらしい。最初の『ぶっ殺す』から『ぶっとばす』にランクダウンしている。

 だが、煌夜はそんな事はどうでもよかった。ただ彼の心中は、


(……やばい。なんかとてつもなくカッコいいなこの人)


という気持ちでいっぱいだった。

 このパツキンは自分が今危機的状況に立たされている中で暗にこう言っている。『関係ない奴は巻込まない。だから早く逃げなさい』と。

 煌夜がモモの友達だと知った時点で、煌夜を盾にする事だってできたはずだ。なのにそれをしなかった。単に恐怖によりそこまで頭が回ってないだけかもしれないが、それにしたって大したものだと煌夜は思う。

 なので、パツキン君の漢気溢れるその申し出に胸打たれた天神煌夜はそれを無駄にしないために全力でお応えする事にする。


「それじゃあモモ。俺は学校行くからあとはヨロシクマカセタヨ♪」

「ちょっと待てやオイ」


 爽やかさ120%の笑顔で立ち去ろうとした煌夜の肩がガシィっ!と掴まれた。そのままギリギリと握られる。痛い。


「なんだよモモ止めるなよ」

「止めるわ! おまえなに普通に親友置いて行こうとしてんだよ!? 普通加勢するとかあるだろ!!」


 さっきの鬼モード(命名・煌夜)がいつの間にか取っ払われていつものモモになっていた。

 煌夜はニコッと天使のような笑顔を浮かべて、


「大丈夫だってモモなら余裕だろヨユーシャクシャク。 俺はモモを信じてるからさ。 それにほら、いつまでもぐずぐずしてると学校遅れるしさ」

「信頼のされ方がすっげえ残念なんだがなぁ!? つかおまえは親友より学校優先かコラァ!親友って肩書き捨てるぞ!!」

「む。それはちょっと困るな」


 ちょっと!? ねえちょっとなの!? というモモの叫びを無視して不良達、正確にはパツキン君の方へ向き直った。

 彼らは唐突な漫才モドキにどうしていいのかわからず困惑している様子だった。煌夜はそんな彼らに少し頭を下げ、心底申し訳なさそうに言う。


「ごめんなさい。ウチの馬鹿がああ言ってるんで、やっぱり立ち去れません。お気遣い感謝します」


 馬鹿って!! というモモの声をやっぱりスルー。困惑なパツキンはやがておずおずと、


「………え、えっと、始めちゃっていいんだよな?」


 どうぞどうぞと煌夜は両手のジェスチャー混じりで先を促した。

 そしてパツキン君は、


「え、えっと………い、行くぞコラァああああああああああああああああああ!?」


 他の連中も『お、おおおおおおおおおおおおおおお!?』と精一杯の雄叫びをあげた。

 こうして微妙なノリでの喧嘩が勃発した。







 連中はまず煌夜達を取り囲むように動いた。なので二人は自然と背中合わせになる。そして煌夜の正面に二人、モモのほうに八人不良が武器バットを剣を持つように構えて立つ。実力がよくわからない煌夜よりバカ強いモモのほうが難敵と判断しての戦力分散だろう。読みは悪くない。

 モモのほうはなんとかなるだろ、と煌夜は考え、目の前の敵に集中する。

 そして、動いた。

 煌夜から見て右手側の不良が木製バットを振り上げる。

 だが、それが振り下ろされることはなかった。

 バットが振り上がった瞬間を見逃さず、煌夜は一気に数歩で男の懐に潜り込み、そのままの勢いで飛び蹴りを放った。

 ズドムっ!という音と共に『う、あっ』と呻きながら男の体がくの字に折れ曲がる。そのまま煌夜は右拳を顔面に叩きつけた。

 これで、まず一人。

 次に一瞬の出来事に頭の理解が追いつかないでいるらしい、呆然としているもう一人のみぞおちに肘打ちをくらわせる。やはり呻きながらくの字に折れ曲がる不良を同様の手段で昏倒させた。

 これで、二人。

 あっという間に煌夜は二人の不良を叩きのめした。


「ふぅ……」


 と息を吐く。

 実は煌夜、モモ程でないにしろ結構喧嘩慣れしていた。というのも、今回のように大抵モモが厄介な連中を連れて来てくれるため渋々、という形でだ。つまり煌夜は『巻込まれる人に巻込まれる人』という、何とも複雑なポジションなのである。

 しかし取り敢えず、こちらのほうは片づいたのでよしとする。


(まあ、これだけ簡単に済んだのはあらかじめモモにボコボコにされたダメージが残ってたからなんだろうけど。さて、向こうのほうは………)


『くらえオラァ!』

『ペギョ!』

『ああカズヤ!ケンスケ、ヨシオ、山ちゃん、ジロー、トモぉ!! ち、ちくしょう、全く勝てる気がしねえ! つーか八対一で負けるか普通!? 悪魔かテメェは!!』

『はははははッ! てんで手応えねえなー。オラァ!男の意地見せてみろ! 褒美は地獄への無料招待券だぜぇ!! ちなみにおれ発な!』

『いやー!来ないでー!!』


(…………うん、大丈夫そうだ)


 ていうかやっぱり俺の助けいらないじゃん、という感想はこの際飲み込んでおく。

 最後に聞こえた『ブベッ!』という声がパツキン君のものだった事が、なんだかとても哀しく思えた。




「さってと、『掃除』も終わったし、今度こそ学校行こうぜ!」

「……毎度毎度、お前の強さは喧嘩慣れで済ませていいものか疑問に思うよ。そして、このまま行くと俺はお前の相方として有名になってしまいそうで怖い」

「地獄まで一緒だぜ親友!」

「地獄へは一人で行くがいい。………パツキン、違うところで出会っていたら友達になれたかな」

「? 何未練っぽく呟いてんだ?」

「聞こえなかったならいいよ。IFの展開を考えただけだから」

「?」




 そうして彼らは学校へ向かう。


 現在、八時五分。

 学校までは、あと十分ほど。

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