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特異点  作者: 星野☆明美
8/8

エピローグ

「撃たれるってわかってて行くの?」

フォスティーヌが叫んだ。

「クローン化された俺が立っていた場所の近くに時空転換器が停めてある。他の俺が発生している地点を避けて近づくには、クローン化された俺の前を通らなくちゃならない」

「私を一人残して行かないで」

「大丈夫。戻ってくるから。ここで待ってて」

額にキス。

「おっと!撃つのはちょっと待ってくれよ」

クローン化したばかりの俺はぼんやりと俺を試すように見た。混乱してたんだ。記憶の混濁。

「よう!過去の俺よ、今どうしようか迷ってるだろ?」

どうやったら刺激せずにやり通せるかな?

「ここは『特異点』だ。時空が交差するところ。お前はこれから数々の試練を受けて最終的に『俺』になる。俺はループを断ち切りに来た。何度この場所と時間に来てもお前は俺を撃って先に進む。だから、俺は何とかして状況を変えたいんだ」

「何度も?」

「そう。何度も」

時空が集中してくる。この一点に。

俺は撃たれた。

崩折れる。

「銃声がしたぞ」

他の俺たちが集まってくる。逃げるクローン。

「イオ」

フォスティーヌがいち早く俺に駆け寄る。

「なんてね」

ウインク。ばっちり防弾チョッキを下に着込んできた。それでも衝撃で倒れてしまった。

「急ごう」

大元の時空転換器の誤作動の原因は、一本の髪の毛。赤毛で長いその髪の毛はシフトレバーキーに絡まっていた。それをはずして赤いレバーをひく。

周りに群がっていた俺たちが消滅してゆく。

「過去へ行くの?」

フォスティーヌが聞いた。俺ははっとする。これ以上過去に戻っては混乱が生じる。死んだ男の研究仲間が待ち受けていて、俺らはまずいことになるだろう。

「降りよう」

無人になった時空転換器が消え去った。

「これからどうするの?」

「ジプシーのキャラバンに入れてもらおう。まだ君が生まれてない時点だから、自分に会う確率は低いよ」

「……よくわかんないけど、賛成」

俺たちは一件落着だと思って笑いさざめきながら歩いていった。

「レン!レン!嘘でしょう?帰ってくるって言ったじゃない」

空っぽの時空転換器が戻ったとき、レダは半狂乱だった。

他の研究員たちはレダをそっとしておいてくれた。

レダは時空転換器の中に寝そべってレンを想った。

「あらこれは!」

長い金髪。他の女の髪の毛だ!

レダはしばらくふつふつと湧いてくる怒りに身を焦がした。

レダは時空転換器を操作して、レンが出発する前夜に移動した。

シフトレバーキーに自分の髪をこれでもかと絡みつけた。

そして彼女は未来へ。

イオとフォスティーヌを殺害に向かった。

半狂乱のレダは金髪の女の子を産んだ。そして自害した。

レダの産んだ子はジプシーでフォスティーヌと呼ばれた。

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