リモート術式大戦
ヤバい!ヤバい!ヤバい!
納期がヤバい!
ここ最近ヤエの支援にかかりきりで、すっかりバイトの納期を忘れていた。
パソコンで出来る仕事のため、在宅で出来るバイトなのだが、
納期があるので守れないと給料は振り込まれない。
夜11時。納品は明日10時。キーボードを叩く音が部屋に響いていた。
そんな中、地図上にあるアイコンが動いているのが目につく。
ほとんどの人々は寝ているのかアイコンが動くことはないので、
こんな時間に出歩くアイコンは珍しい。
なんとなくカーソルを合わせると"ツクヨ"の名前が表示される。
ツクヨさん?何故この時間に出歩いているのだろう?
気になりそのまま、映像はOFFの状態にしてアイコンの行き先を見ていた。
アイコンはそのまま街外れの平原で動きが止まった。
「海。見てるんだろ?こんな時間まで夜ふかししてお姉さんを監視とは
いやらしいね~」」
「バレましたか。よく分かりましたね」
「導素でバレバレさ。まあ…もう1人怪しい導素を出している奴がいるけどさ。
出てこい!」
ツクヨさんが大声を上げ、手に持った杖から雷が出て、あたり一面を攻撃する。
一箇所だけが青白く光る。
「おや?見つかりました。やれやれ…」
細身の男が突然姿を現す。
ツクヨさんが問い詰める。
「見つけた褒美に色々と聞きたいんだけど良いかな?」
「貴方の質問に答える必要がありますか?拒否します」
「なら仕方ない!」
ツクヨさんと男がそれぞれ杖を取り出し術式を発動させる。
火が弾け、水が舞、雷が轟く、様々な攻撃をお互いに繰り出す。
攻撃に対して攻撃で返し、バリアだろうか。防御壁を出し防ぎ攻防を繰り返す。
突然の開戦に呆気に取られる。
攻撃が当たらないと判断したのかツクヨさんが後退して距離を取る。
「海~見てるか~?これから術者の戦いについて教えるぞ~」
「こんな状況で突然どうしたんですか!?」
「まあまあ。今後も術士のフィーラと行動を共にするんだ。
海が術士について知っていても損はないだろ~?」
のんびりと喋りつつもしっかりと相手の相手の激しい攻撃に対応している。
「まずは術式についてだ。フィーラから術式に関しては
特定の時間をかけないと正しく発動しないと教わっただろ」
「はい。水球を飛ばすなら長過ぎると爆ぜて、短いと遠くまで飛ばない」
「その通り。ならこれはどうでしょう?」
ツクヨさんが水球を溜めも無しに連続して相手に飛ばす。
相手も反応するように即座に防御壁を出す。
「どちらも溜めなしで術式が発動出来ている?」
「そうそう。術式を発動するためには溜めが必要だ。
だけど術式は短縮することが出来るのさ。
水球飛ばすなら、導素変換速度、水を集め固める速度。
それぞれ早くさせる事が出来る。水の塊の大きさ、飛ばす際の威力。
術式の構築方法を理解し、どこを短縮するか考え工夫すれば、
時間をかけずに発動させることが出来るのさ」
一つ疑問が出てくる。
「だったら最初から短縮術式を使えば良いのでは?
詠唱まで覚えて術式の感覚を覚えるなんてしなくてもいいような」
「通常の術式構築に速度をつけるんだ。しっかりと発動させるタイミングは通常より
感覚を掴むのは難しいのさ」
ツクヨさんと男の攻撃は止まない。激しい攻撃に地図の地形がどんどん変形していく。
この2人の導素量は尽きることが無いのか?
「ツクヨさん。そんなに沢山術式を発動させて導素量は大丈夫なんですか?」
「良い質問だね~。私達、術士は総量は違えどそれぞれ体内の導素を用いて
術式を発動している。それじゃあ導素が無くなったらどうするか?
これを使う」
そう言い、ツクヨさんがわざとらしく杖を振り相手に攻撃を行う。
「杖ですか?そういえばフィーラも持っていましたね」
「そうそう。杖の先端にある刻印石があるだろう?これに事前に導素を溜めておくんだ。
体内導素が無くなればここから導素を使う。
そして杖を構成する木材は最も導素エネルギーの循環がされやすい素材だ。
触れるだけで体内に導素を注入できるのさ」
いわゆるスマホの内部バッテリーが術士で杖はモバイルバッテリーの役割なのだろう。
術者の導素が無くなれば杖に埋め込まれた刻印石から供給される仕組みか。
「後は体内に貯蓄できる導素総量だね。これは人によって様々だ。
生まれ持って一定の導素量があれば術士の適正がある」
「つまり才能?」
「そういうこと。だけど走ってスタミナがつくように
導素量も日頃、術式を発動すればするほど増やすことが出来る」
「鍛錬が出来るということですか」
フィーラは術士になってそう期間は長くないのだろう。
ツクヨさんの導素量も短縮術式も長年の蓄積からなるのだろう。
経験の差が違う。
「私に対して随分と余裕そうですね!腹立たしい!腹立たしい!
これは使いたくなかったのですが!」
男が場が膠着状態にあるのにしびれを切らしたのか
背後の地面から巨人らしきものが出現した。
アイコンには"術式傀儡ゴルス"と記載されている。
これはヤエ達に襲った巨人に似ている。おそらく同型だろう。
「お?報告にあったヤエ達を襲った傀儡かな?」
「まあ、そうですよ…。折角作り上げたのに壊されましたけどね」
「回りくどいねぇ…。私と同じ位の実力があるのになんで遠巻きにこんな事をする?」
「姿を見られたくなかったからですよ。貴方を殺すのも口封じのためです」
「やれやれ。私に夢中になってくれるのは女の子だけで良いのになぁ…。
ヤエ達を襲った理由は何さ?」
「あの少女を抹殺する必要があったからですよ。
私の失敗を組織に知られるわけにはいかないですからね。
禁忌の森に誘い出し失敗し、傀儡をけしかけ失敗し次の計画を考えていたのに」
男は冷静さを失っているのか、情報を簡単に吐き始めた。
禁忌の森の刻印石の破壊もこの男が原因だったか。
「ヤエを転移させてきたのはあんたかい?」
「駄目だ!駄目だ!冷静さを失っていたようですね。
余計なことを喋ってしまった。面倒だ!面倒だ!」
「ん~これ以上は聞き出すのは無理か~」
男が頭を掻き始め杖を振るう。
それに反応するように傀儡が街方面へと動き出す。
「私を無視して街を襲おうなんていい度胸じゃあないか。
だったらこうだ!」
ツクヨさんが杖を縦に持ち、先端を地面にカツンと叩く。
その瞬間、ツクヨさんの背後から土壁が一斉に横に広がるように出てくる。
傀儡が街へと移動出来なくなった。
「ほれほれ~もっとお姉さんと遊んでいきなよ。
あんたも傀儡もさぁ!」
「ああ!ああ!面倒だ!面倒だ!」
男が見るからに苛立ちを起こしている。
その反応を見てニヤニヤしながらツクヨさんは俺に語りかける。
「あまり計画性の無いタイプだね~君。計画が狂うと面白いくらいに冷静さを失ってるぞ。
さて海よ。術式は防御壁で防がれる。となると術士同士での戦いで勝つためには?」
「互いの導素が尽きるまで戦うとか?」
「それも一つだな。だがいつ相手の導素が尽きるか分からんし戦略としては安定しない。
そもそも防御術式とは、相手の攻撃術式の導素を解明し、反転もしくは中和させる術式だ。
水や炎なんかの基本攻撃を防ぐ防御壁を複数混合させたのを展開するのが一般的だ」
戦闘が開始されてから全ての攻撃が防がれているのを見る辺り
攻撃の意味はないのでは?
「あくまで攻撃は互いの力量を見るための様子見みたいなものさ。
私の攻撃を防げる程度にはあの男は実力はあるみたいだね」
「それじゃあ膠着状態じゃないですか」
「ああ。だから術者同士の戦いは相手の力量を見て次の工夫を行う」
ツクヨさんは杖を振るうと、周りにあった岩や小石が浮き上がる。
それを傀儡と男に向かってそれぞれ投げつける。
勢いある攻撃に男は攻撃を避け、傀儡は早さに反応出来ず攻撃が当たる。
反撃なのか傀儡の目から熱線を出るが、ツクヨさんは土壁を出し回避する。
「とまあ、こんな感じで防御壁で防げない物理攻撃をするなんて
工夫をするのも手段の一つだ」
「避けられてません?」
「だな!当たらなきゃそりゃ意味が無い。
だからこそ初見殺しや必中の技が必要になるのさ」
「随分と余裕そうですねぇ!」
男が叫び声を上げる。そういえば先程から男からの攻撃が止んでいた。
「あの男もしかして!」
「お!気づいたか。あいつ、防御壁でも防げないような術式を構築してたみたいだね」
「のんびり解説している場合ですか!」
「まあまあ。私ほどの術者になれば、術式なんて併用して発動させるなんてことも出来るのさ。
私も準備が整った」
男が杖を振るう。その瞬間地面が割れ、その下はマグマが密集していた。
「へえ…。地面下にマグマを溜めていたか」
「休ませんよ!」
男が落ちるツクヨさん相手に術式攻撃を連発する。
ツクヨさんは杖を振ったが出したのは防御壁ではなかった。
男の追撃で放った攻撃はいくつかあたりツクヨさんは傷だらけになる。
しかし、その後何かが落ちて来た。それは男の術式傀儡だった。
ツクヨさんは落ちる傀儡に掴み、地上へと脱する。
傀儡はそのままマグマへと落ち溶けていった。
「??何故だ!何故だ!私の傀儡が何故マグマに落ちる」
「いや~間一髪。地面が割れてマグマとは焦った焦った。
焦らせた褒美に解説してやろう。
さっき傀儡に当てた岩の導素を解除せず、傀儡の体に留めておいたのさ。
岩の操作をして、そのまま私の元へ引っ張ただけさ。」
それでもツクヨさんは先程、男の術式の攻撃を受けている。
口では問題なさそうでも、ダメージがあるのは見るからに分かる。
「イタタ…。まったく…いい攻撃出すじゃないの。
それじゃあ、反撃の時間だ。
海よ。見たとおり術士同士の戦いは併用して術式を構築して小さい攻撃をしつつ
デカイ術式を初見殺しで当てるのが基本だ。
アイツはさっき大きな術を出したから導素はもう無いようだね」
男が図星を付かれたような表情をする。
言う通り導素がもう無いのだろう。攻撃が来ない。
ツクヨさんが言葉を続ける。
「海青年。よく見ておけよ。術式を複雑に数重も重ね構築した必殺の域まで達した大技。
これを真技と呼ぶ!」
男が恐ろしい気配を感じて逃げ出す。
ツクヨさんの周りが大きく震えだす。
もう遅いよ。小声でツクヨさんが呟き大きく言葉を唱える。
「真技"彷徨える聖女の楔"」
ツクヨさんの杖が大きく光る。
それに呼応するように空から大きく小さな光りがいくつも見えた。
男は地面から突如出てきた鎖に足を捕らえられる。
もう逃げられない。
空から無数の光の槍が男に向かい降り注ぐ。
悲鳴を上げることも出来ず、容赦ない数多の槍が男を貫き周りの地面を抉る。
無数の槍が地面に衝突する轟音と光煌く無数の槍が何処までも突き抜ける。
たったの数秒が長く感じるほどの体感があった攻撃が止んだ。
男の姿は跡形も無く消え去り、ボロボロになった衣服と形状を留めていない
杖だけがその場に残っていた。
それを見た瞬間、男が死んだのだと分かり、一瞬にして体が震えた。
これは殺し合いだった事を改めて実感し恐怖で震えた。
「ありゃりゃ。海。大丈夫…じゃないか。顔がひどいぞ。
私のいる世界じゃ野良術士の殺し合いなんて日常茶飯事なんだけどね。
刺激が強すぎたか」
呼吸を整え、息を吸い、吐く。落ち着け。
「いえ…。心配おかけしました。ツクヨさんがあの男を止めないと
もっと甚大な被害が出ていました」
「まあ、そうさね。海達のいる世界がいかに殺生とは無縁なのかよく分かる。
その感覚が正常。恥じることはない」
モンスターがいて、それに対抗出来る力を持つ人間がいる。
必然的に力を誇示する人も私利私欲で使う人もいる。
当たり前だが改めてヤエが居る異世界がいかに危険かを思い知る。
「さてと…アイツは何か持っていなかったかな~」
そう言いツクヨさんが男の衣服などをあさり始める。
その中に一つだけ金属製のメダルみたいな物が見つかる。
「お!なんか怪しい物を発見」
「硬貨ですかね?」
「こんな悪趣味な硬貨どこの国でも採用はされていないさ」
硬貨には絵柄が彫ってある。目のマークが中心に描かれ
周りには読めない文字がびっしりと刻まれていた。
いかにも怪しい組織とひと目見て分かる自己主張ぶりだ。
「あれ?読めない?術式の効果で意味は分かるはずなのに」
「あくまでシンボルって事なのかね?私もこんな言語見たことが無い。
造語かもしくは意味のない文字風の列か?」
いよいよ怪しさが倍増してきた。
秘密結社なのだろうか。知ったは生かしておかない的な。
「こりゃヤバい組織かもね~。とんでもない奴に喧嘩売っちた。HAHAHA!」
「笑い事じゃないでしょ…」
「そうだね~。海。今回の件は誰にも話すな。
男の会話からヤエを抹消目的にしていたのはアイツ個人での行動だ。
おそらく今回の戦いで謎の組織について私は知った。
抹消対象としてターゲットに加えられたはずだ」
「余計笑えないじゃないですか…」
「笑えないねぇ…。あ~も~限界~」
ツクヨさんは大の字になり倒れこむ。
あれだけの大技を出したのだ。
導素が尽きたのだろう。
「門番は起きてるよな多分。ツクヨさん救援を呼んできます」
「任した~。もう動けん~」
ツクヨさんから殺気が消え、
陽気で残念なお姉さんのツクヨさんに戻っていた。
-------------------------------------------------------------
「どどど…どうしたんですかぁ!その傷は!」
翌日、フィーラが傷だらけのツクヨさんの姿を見るなり言い放つ
「いや~お酒を飲んだ後の記憶がないわ~HAHAHA!」
「笑い事ですか!体中の節々に包帯を巻いてるじゃないですか。
喧嘩でも普通そうはなりませんよ!」
クノンが何か察したのか小声で語りかける。
「ねぇ…海。ツクヨの怪我。明らかに戦った後。何か隠している」
「今は黙っていたほうがいい。おそらく俺たちを厄介事に巻き込まない為だろう」
「ん…。気になるけど聞くの我慢」
ツクヨさんには昨日の出来事は秘密にするように言われている。
俺も知らないかのように返答する。
「いや~しかし私を心配してくれるなんてよく出来た弟子だな~
ツクヨさんは嬉しいよ」
「ふざけている場合ですかお師様。茶化すと無視しますよ」
「そりゃ嫌だな。酒は今後は気をつけるさ」
「そうやって何回も傷をつけて帰ってきたじゃないですか」
どうやら普段から大きな怪我を負って帰って来ているらしい。
まさか夜な夜なあんなバトルを毎回繰り広げているのか?
それとも酒乱な性格なのか。真実は不明だ。
「さてと。私はやることがあるんでね。もうこの街を離れるよ」
そのことを聞きヤエが黙っていない。
「ええ!ツクヨさんともっと美少女について語り合いたかったのに!」
「ヤエ…。私も君のような心の友と離れるのは寂しいよ…」
「ツクヨさん!」
ヤエとツクヨさんが熱い抱擁をする。
たった一日で心の友に昇格してる。
「お師様。仕事とありますがちゃんと組合の正規の仕事なんですよね?」
「(笑)」
「なんですかその笑顔は!また非正規のお仕事受けたんですか?
お師様はA等級の二つ名持ちの自覚をもっと持ってください」
「そういえば~二つ名なんて称号あったな~」
「おお!ツクヨさん二つ名なんてカッコいいものが」
ヤエが食いつく。
「なんか仕事頑張ってたら貰えたんよ。確か名前は"少女趣味"だっけ?」
「"境界無き流浪の道士"ですよ!誉れは無いんですか!」
「ああそうだ。ちょっと長い名前の奴」
「毎回、組合に報告しないで放浪するから私が毎回報告書書いてるんですからね」
「ごめんなさい…」
ツクヨさんの前だとフィーラは厳しい。
今の会話で何となく粗雑な師匠をフォローしてきたのだろうと感じ取れる。
「まあ。今回も長い旅路になる。クノン、ヤエ。我が弟子を頼む」
「任せて!」「ん…」
フィーラは少し心配そうにツクヨさんを見つめる。
「そんな怪我して次は何処へ行くんです?心配をかけないでください」
「フィーラ。そんな顔をしなさんな。私の強さを知っているだろ?」
「それはそうですが…」
フィーラがツクヨさんに身を寄せる。
ツクヨさんは優しく抱きつきフィーラの頭を撫でる。
少しの時間が経過し、ツクヨさんはフィーラから離れる。
「それじゃ達者でな。フィーラ。鍛錬を積め。強くなれ。
心配して待つのが嫌なら、私に背中を任せるくらいに研鑽しろ。
これは師匠からの課題だ」
「承知しました。いずれ師匠を超える術士になってみせます」
「いい顔だ。可愛い我が弟子」
ツクヨさんが笑いかけ、そのまま街の門まで振り返らずに歩き出す。
見えなくなるまでフィーラはツクヨさんの背中を見続けていた。
-------------------------------------------------------------
外の街道を歩くツクヨさんに話しかける。
「おや?海。感動的な別れをしたのに君はもう会うのかい?」
「すみません。一言謝りたくて」
「何をさ?」
「昨晩のあの術士の男。ヤエを狙っていました。
ツクヨさんが組織の人間に手を出してしまったことで
巻き込まれるような形になったのを謝りたくて」
「なんだそんなことか」
そっけない返答をツクヨさんはする。
「気にするな。それに相手は明らかにヤバい組織だ。
今後、私が暴れて狙われていた方がヤエ達的には安全だろ。
人気者は辛いね~」
「ごめんなさい」
「謝るなって。だったら海のその力であの3人の力になってくれ。
遠隔で周りの状況が見れるのは唯一無二の強みだ」
「………分かりました。言葉とおり3人の支援に力をいれます」
「そうしてくれ。それなら餞別をくれてやろう」
ツクヨさんは杖を振るう。
とくに何か変わった感じはしない。
「後でじっくりと地図を見ると良いさ。それじゃな」
手をひらひらとさせそのまま街道をツクヨさんは歩いていった。
気になり地図を見る。とくに変化はない。
試しにツクヨさんにアイコンを合わせる。
そこには今まで名前しか表示されなかったのが一変し、
体力、スタミナ、導素量、使用出来る術式などの
ゲームのような詳しいステータスが表示されていた。
あの人は一体何者なんだ…。
そう思いつつもこれはヤエ達の大きな助けになるだろうと感じた。
そういえば何かもう一つ忘れているような。
……。
バイトの納期!
俺の個人的な戦いはまだ終わっていなかった。
読んでいただきありがとうございます。