魔法少女が来たのでリモートで挨拶してみた
朝になり、目を覚ます。
疲れていたのか椅子に座ったまま寝ていたらしい。
変な夢だった。幼馴染をリモートで支援する夢だ。
ふと目の前のパソコンを見ると昨日と同じく地図とアイコンが見えている。
昨日の出来事は夢ではなかった?
時間を見ると午後になっていた。
大分寝ていたらしい。
今はこの怪奇な現象の把握をする必要がある。
知らないことが多すぎる。
まずはヤエの現状を把握しないと。
地図を操作し、"ザースト"と地名の書かれた村の周辺からヤエのアイコンを探す。
丁度、村の広場と思われる場所に複数のアイコンがある。
そのうちの一つにヤエのアイコンを発見した。
マイクのON-OFFとか関係あるのか?と疑問に思いつつ
パソコンの画面に向かい声をかける。
「ヤエさーん。聞こえてますか~」
「あうぅ!!」
とアシカの鳴き声のようなヤエの反応が返ってきた。
「海君?ビックリした!いきなり声が聞こえてビックリした~」
「どうやら夢じゃないみたいだな。無事で何より」
「何だ?突然声が聞こえたぞ!」「かみさまのこえ~?」
「ヤエ姉変な声~」
と子ども達の声が聞こえてくる。
どうやら他のアイコンは村の子ども達の声みたいだ。
何人か俺の声に反応しているということは
ヤエだけに聞こえている声ではないらしい。
「あ~えーと。今聞こえている声の主は私の幼馴染の海君ですよ~。
みんな怖がらなくて良いからね~」
「どうも海です」
子どもの前で気の聞いた挨拶が出来ないのかと少し情けなくなる。
姿が見えず、声のみ聞こえてくる奇妙な状況が珍しいのか
子ども達がワーワーと声を上げ盛り上がる。
「どうやってるの?!凄い術だ!?」「かみさま~?」
「もう一度!不意打ちで声掛けしてヤエ姉の変な声が聞きたい!」
と怒涛の質問攻めにあう。
質問されても俺だってこの世界については不明なことが多すぎる。
ヤエと状況を整理したいがこれでは難しそうだ。
子どもの好奇心を防ぐ手立てはない。
「みんな。海君が困ってるよ~。一度に聞き取ることはできないから~。
みんなの質問それぞれ聞いて後でお姉ちゃんが聞いておくから。
言うことを聞いてくれたら例のとっておきの果物を分けて上げるから」
ヤエが子どもたちの興奮をおさめ始める。
果物と聞いて子どもたちが「本当!本当に!?」と声を上げる。
モノで釣る効果は上手くいったのか、ヤエが子ども達の質問をまとめて
後で答える約束をした。
「一体どんな魅力的な果物なんだよ…」
「それは秘密」
ニヤニヤと笑い混じりにヤエが答えた。
この世界で気になる事柄が一つ増えた。
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少し離れた場所で子どもたちの遊ぶ笑い声がかすかに聞こえてくる。
ヤエは近くの切り株に座り、現状の把握のため情報交換をすることになった。
「とりあえず割と平和な世界なみたいで良かった。
まあ、昨日ゴブリンに追われていたから確実に平和とは言い難いが…」
「そうだね~。まあ、山奥で熊に出会った時みたいな!
案外自分のいる世界も危険がいっぱい!
それに酸素もあるし、ご飯は美味しいし、人外魔境でなくて良かったよ」
確かにそうだ。小説でよく見る、異世界転生、転移に関しては
都合よく人間が過ごせる同じ環境だし、言語はあるし、過酷な環境はあまり聞かないな。
もしかしたら酸素のない環境に転移して即死な環境もあるのかも。
いかんいかん。思考が脱線している。
「何にせよ、生きていくには問題なしな世界だ。今必要なのはこの世界の情報だ」
「あとは元の世界の情報もほしいな。私がいなくなって、
お母さん、お父さんも心配してるよね」
まずは明確に状況が分かっている現実世界の話をすることにした。
ヤエが行方不明で探索が行われていること。
ヤエの両親が心配していること。そして昨夜の出来事と
自分がどうやってヤエに指示を与えていたのか。
「う~ん…。お母さんとお父さんにどうやって説明しよう…。」
「まあ、確かに娘さんは異世界に転移して元気にしてますなんて説明しても
頭がおかしくなったと思わるだけだしな。この画面を通して
会話をしたところで、自分の娘が往来不可な異世界にいますなんていっても
信じてもらえないだろうし」
「せめてこの世界の映像も見せることが出来たら少しは信じてもらえるのにな~」
互いに考えても良い案が浮かばなかった。
そんな時、地図上に一つのアイコンがヤエに近づいてきた。
「あなたがヤエさんですか?」
ヤエに話かけてきたのは、ヤエと同い年くらいと感じられる声色の
女の子の声だった。
「初めまして。私、大陸統括組合から来ましたフィーラ・クロイラです。
今回の禁忌の森に設置された刻印石の障壁の不具合に関してで訪問させていただきました。
昨日、禁忌の森に入られたとの事なので詳しくお話を聞かせていただきたいのですが…」
「ま…ま…」
ヤエが声を震わせてる。
ヤエさん?
「魔法少女だあぁぁぁ!」
「え?何突然?」
突然のヤエの発言に思わずツッコミを入れる。
というか魔法少女?ひと目見ただけでわかるような格好なの?
凄く気になる。
「海君凄いよ!魔女帽子!ローブ!大きな杖!
絵に書いたような魔法少女だよ。
あ…あ…ジャパニーズハイファンタジー異世界だったんだ~!」
「落ち着けヤエ…。凄い早口だぞ」
ああ、そういえばヤエは昔から魔法要素好きだったな~。
幼少の頃の将来の夢は魔法使いだったし。
「え…あの~。魔法少女とは一体…。というか凄いテンション。
しかもどこからか男性の声も聞こえたような」
フィーラさんが困惑したような声を出している。
そりゃ困惑するよな。
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興奮気味のヤエをなだめ、フィーラさんに
自分たちがどういった状況なのか話した。
ちなみにヤエは口を開けば話が脱線しそうなので黙ってもらっている。
「つまりヤエさんは気づいたら、この土地にいて、
海さんは遠い地からヤエさんと声で交流出来ると…。
どんな術式なんだろう?」
このままだと話がそれてしまいそうだ。それにフィーラさんが最初の挨拶で言っていた
ことが気になる。
「そういえば障壁がどうとか…」
「ああ…そうでした。ヤエさんが禁忌の森へ入ることが出来たと聞いたので
刻印石の障壁に不具合があると思いまして。その時の状況を詳しく聞きたかったのですが、
出会い頭にあれでしたので」
そりゃ、あんな興奮状態を見せられたら誰だって引く。
ファーストコンタクトがワーストコンタクトである。
しかし、一体どんなビジュアルをしているんだ、フィーラさん。
クソ!なんで音声だけなんだ!気になるんだが!気になるんだが!
「フィーラさん。刻印石というのは?」
「刻印石というのは術式を込めた道具のことです。
この村にあるのは障壁の術式が組み込まれた刻印石ですね。
禁忌の森には時々魔物が現れますので、侵入を防ぐために障壁が必要なんです。
刻印石や術式に関してはこの大陸では一般的に知られているものなので、
海さん達が知らないということはよほど遠い地なのでしょうか。
刻印石に関しては実際に見てもらった方が良いかもです。」
「確かにそうですね。ヤエ。悪いがフィーラさんを昨日の森に出入りできた場所まで案内してくれないか」
「………」
地図上ではヤエのアイコンがあるが返事がない。
「あの~海さん。ヤエさん"ムっー"といった感じの顔してます」
フィーラさんが現状を伝えてくれる。なるほど"ムっー"といった感じか。
ヤエのやつ、ふてくされてるな。確かに会話からハブられて興味深い話を
しているのに発言禁止は嫌な気分か。
「ヤエ。ごめんな。喋って良いぞ」
「やったね!喋れる!」
元気なヤエの声が聞こえる。
「そんな軽い感じで良いんですかヤエさん?」
「良いの良いのフィーラさん。コレが私と海君の関係性なのです。
あとさっきは興奮してごめんなさい。」
「そうですか。喧嘩な雰囲気なのかと心配しました。」
出会って数分間とはいえ、俺たちのことを気にかけてくれるあたり
フィーラさんの人の良さが少し見えた。
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ヤエの案内のもと、昨日の禁忌の森に出入りが出来た場所まで来た。、
出入りが出来る箇所のみ障壁がないため、一時的な措置として
簡易的な柵が作られているので、すぐに見つけることが出来た。
「やっぱり。刻印石の一つが壊れてますね。」
「へ~これが刻印石。キレイな宝石だね~」
「幸い中に刻まれている術式が消されただけなので、今から修復をします」
そう言い、フィーラさんが詠唱を始める
「"某は弱き者を見捨てず、全ての厄災から護る盾となれ-
呼応し、共鳴し、純然たる壁となれ"」
おお!詠唱!
この世界での術式とは魔法みたいなものなのだろう。
「?? 特に何か変わったところは見えないけど」
ヤエが疑問を投げかける。
「ヤエさん。試しに森の中へ入って見てください」
「わかった!」
ヤエのアイコンが森の中へと入ろうと動き出す。
ゴン!という鈍い音が聞こえる。
「痛っった~。目の前は透明なのに、いきなり何か大きな壁にぶつかった~」
「何故全力で走り抜けようとしたんだ…」
「す…すみません!説明をちゃんとしていれば。
「大丈夫、大丈夫!私はこれくらいではどうともならないから」
「痛いっていてなかった?」
「えっと…これが障壁術式です。見た目は無色透明ですが大きな壁が出来上がる術式です。
術師が刻印石に術式を組み込むことによって永続的に効果が続く優れたものなんですよ」
なるほど。昨日、村人達が禁忌の森を探索対象に選ばなかったのはこれが理由か。
魔術障壁が出ていて、入ることも出ることも出来ない。そこに壁があるのが当たり前だから。
ヤエだけはこの世界の知識がないからこそ、森が探索対象にあって、アロエを見つけることが出来たのだ。
「フィーラさん。この世界の刻印石は壊れやすいのか?」
「いえ。よほどの衝撃を与えない限りは壊れないはずです。
刻印石自体も傷は無かったので
術式が解除されていたのが原因で…」
フィーラさんがあることに気がついたのか言葉が止まる。
俺も気になることがあったので質問をする
「フィーラさん。確認なのですが、術式の解除は誰にでも出来るものなのですか?」
「いえ。術式は術士でしか解除出来ません。付与も同じくです。
誰でも出来るわけではないので、術式が偶然外れることは無いはずです」
「つまり誰かが意図的に外したと…。ヤエ。この村に術式が使える人はいるか」
「ううん。いない。こんな凄いの今日初めて見た」
おそらく隠れ術者がいる可能性も低そうだ。
フィーラさんが大陸統括組合から来たと言っていた。
組織があるということは、術式が使える人は
一つの技能として認められていて、業種の一つとして認知されていると推測できる。
わざわざ隠し通す理由が分からない。
「フィーラさん。ちなみにこの世界では術者が断罪、迫害されるようなことは?」
「無いと思います。術を使える人は生まれ持っての才能からくるものなので。
どちらかというと好意的に受け入れられますよ」
「今回の刻印石の術式解除については外部の人間の仕業ということか。
それにしても理由が思いつかない。何のメリットが…」
「それについては私も疑問に感じます。早く戻って組合に報告しないと」
「だが犯人がまだこの近辺にいてまた、術式を解除するのでは?」
「ああそれについては大丈夫な…」
「にぎゃああああーーー!!」
突然ヤエの叫び声が聞こえた。
「どうした!ヤエ!」
「こくいんせき を さわりょう としたら、電撃がながれてきひゃ…」
どうやら刻印石を触ろうとして感電したらしい。
好奇心旺盛か!というか大丈夫なのか?
「すみません!ヤエさん。説明し忘れていました。
刻印石に術者以外が触れたら人体に影響がない程度の
電撃が流れる術式を追加でかけています」
「術者以外が触ると?」
「反転の術式が発動します。術式を解除した瞬間に私に微弱な導素攻撃が
反動で来るように組んでいます。例えば炎の攻撃を反転して相手に返したり、
単純に導素の塊にして返したりなど反撃に使用する術式です。
これは応用で解除の術式の導素を攻撃の塊にして私に反転して来るようにした術式ですね」
「なるほど。術者が解除した瞬間がすぐに分かるというわけか。
離れていても状況がすぐ分かるのか」
いくつか術式について疑問がわく。
さらっと導素という聞き慣れない言葉も新たに出てきた。
それよりも
「ヤエ。大丈夫か?」
「まだヒリヒリしゅる…」
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ヤエの痺れがある程度、回復したので、村へ戻る。
戻る途中、俺はあることを思いついた。
「フィーラさん。俺の遠方からも声をかけられているこの状態も術式なのかな?」
「そうですね。海さんの声から導素を感じ取れます。術式の一種なのでしょう」
「例えば遠方の映像を見るような術式とかある?」
「ありますね。ただし座標を指定するか、または見る対象などを指定する必要がありますが。
自由に好きな土地を見ることは難しいですね」
「ちなみにフィーラさんは使用することは?」
「出来ますよ。何か見たいのですか?」
「ああ。俺を対象に投影術式で見てくれないか」
「海さんをですか?ですが海さんのいる土地も海さん自体も特定できていないのですが」
「さっき俺の声に導素を感じとれると言ってましたよね。その導素の流れから
俺の位置を辿れないですかね?」
「なるほど。試してみます」
フィーラさんが詠唱を始める。
詠唱が終わると同時にヤエとフィーラさんが声を出す。
「海君!海君が画面越しに見える!海君からは私達は見えてる?」
「この方が海さんですか。でもヤエさん。映像は一方通行なので
海さんからは私達の姿は見えませんよ」
「そっか~残念」
どうやら成功したらしい。なら次の段階に進む
「フィーラさん。次に反転術式をこの投影術式にかけてくれないか。
予想が正しければ、術式が返ってきて、そちらの映像も映し出せるはず」
フィーラさんが反転術式は炎の攻撃を返し、炎の攻撃を返すと言っていた。
ならば投影術式を反転して逆にこちらからも向こうの世界の映像を見ることは可能なのではないか?
「わかりました」
フィーラさんの詠唱が始まる。
詠唱が終わった瞬間、パソコンの画面に映像が映し出される。
ヤエとフィーラさんの二人の姿だった。
「ヤエ…?」
彼女の姿を見て安心したのか声が漏れる。
ヤエは笑顔を見せる。
「ああ…良かった。安心した…」
自然に流れるように涙が溢れる。
彼女の姿を見て改めて彼女の無事が初めて実感出来たような気がした。
「どうしたのさ海君。珍しく泣いて。大丈夫だよ。私はここにいるよ」
そう言いつつ彼女もつられて泣いていた。
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泣くのが互いに落ち着いたあと、今後の方針について話したかったのだが…
「よがっだですね~おふだりとも~(グスッ
一ヶ月ぶりデスもんね~ぶじなのが一番でず(グスッ」
鼻をすすりながら何故かフィーラさんが一番泣いていた。
それをヤエがよしよしと頭をなでている。
何これ。眼福。というか、いい人過ぎない?
「フィーラさん。わざわざ術式までありがとうございます。
おかげで映像でヤエとも繋がることが出来ました」
「ありがとね~フィーラさん」
「ああ、いえこちらこそ取り乱してすみません。
人助けが出来てこちらも良かったです」
出会ってから半日と経っていないが、この人になら頼めるのではないかと感じた。
全てを打ち明けることが出来るのではないのか。
俺はスマートフォンを取り出し写真を撮る。
「フィーラさん。頼みがあります。
正直、あなたはいい人だとこの一日だけでも感じ取れました。
だからこそ性格の良さに漬け込むようなことをして申し訳なく思います。
だけれどこの世界の右も左も分からず、どうすれば良いのか俺は分からない」
そして先程撮った写真を見せる。
異世界の住人からすればスマートフォンも画面に映る写真も
この世界に無いものだと感じ取れるだろう。
「これは私が映されてますね。どういった刻印石と術式なのでしょうか」
「これは俺たちの世界の電子機器と呼ばれるものの一種です」
そしてパソコンのカメラを動かし、部屋全体を移す。
予想ではなく希望ではあるが、パソコンのカメラからの映像と向こうの世界に
映し出される映像が連動しているはずだ。
「ヤエ。カメラ動いているか?」
「うん。動いている。
海君、信用して全部話すんだね?」
「ああ」
フィーラさんは画面越しに映し出される見たことのないであろうテレビや
家具などに驚きの顔をする。
「フィーラさん。俺たちのいる世界は術式なんてものは無ければ、
あなた達の住む土地や大陸などは世界地図にない。導素なんてエネルギーもない。
火、水、電気。自然に当たり前にあるものを利用して生活して
発展してきた別世界の住人なんです」
「私は海君がいる世界の住人なんだ。だけど一ヶ月前に何故かこの世界に飛ばされてしまった」
「勝手なお願いで申し訳ない。せめて数日だけでも良いのでここの世界の常識を、ルールを、
秩序を教えていただけないでしょうか。お願いいたします」
「お願いします!」
フィーラさんが困惑したような表情をする。彼女の人の良さを利用した頼みだ。
いや。頼み事でさえない。彼女の性格を利用した命令に近い行為だ。
「本当にそれだけで良いのでしょうか?」
フィーラさんが口を開く。
「私は、両親のもとを離れて働いています。
見知らぬ土地で働くことは不安でしたが、組合の親切な人達に助けられ、
今でも安心して生活できています。
組合の言葉の一つにこうあります。
"その技術がある手を動かしたまへ。その手は誰かを助ける標になろう。
小さな助けの積み重ねは いずれ君達の大きな歴史の道標になるだろう"
だからこそ私は手を差し伸べ道を示します。
ヤエさん。いきなりこんな世界に来て不安だったでしょう。
海さん。ヤエさんの事がとても心配でしょう。
帰ることも出来ない不安は計り知れないです。
大切な人に会えないのはとても辛いです。
ヤエさん。海さん。そんな顔をしないで下さい。遠慮をしないで下さい。
必死にもがいて良いです。人の優しさに甘えちゃいましょう。
この世界の案内で終わるのではなく本当に叶えたいことがあるのでしょう?」
純粋な優しさが胸を突く。彼女の信条を正直に話してくれているのだろう。
だったらこちらも本音で話さないのは失礼になる。
ヤエと目を合わせお互いにうなずく。ヤエは叶えたいことを言う。
「フィーラさん!私を元の世界に帰るための方法を一緒に手伝ってくれませんか!」
こちらが提供出来るものは何もない。
交渉にもならない一方的で自己中心な願いだ。
フィーラさんは笑顔で答える。
「勿論です!一緒に帰る為の方法を探しましょう!」
読んでいただきありがとうございます。