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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
海底2万マイルの旅

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再審と判決

「やっぱりそうか。パレルナ」

「分かってる」

パレルナは生き返ったリルに驚くことも無く彼女の両手を後ろに曲げて動きを封じる。

「、誰?」

怪訝な顔で彼女を見るリルだが、拘束された腕に力がこもり苦悶の表情を浮かべる。

「アイラちゃんもちょっと眠っててね」

スクルトに後頭部を何かで叩かれる感触があり、その反動でそのまま意識を失った。


目が覚めると、体が左右に揺られる感覚と共に朝日が見えた。ゆっくりと起き上がると、自分の腕が紐で縛られているのが分かった。

「あっ、起きた?」

馬の手網を握りながら後ろを向いたスクルトと目が合う。馬車の中には他にもパレルナが座っていて、リルとヒナも紐で縛られて気絶していた。

「なんでこんなことを」

「それなんだよね」

再び前を向いて馬を進めながら話し出した。

「僕とパレルナが執行人ってのは最初に言った気がするけど、」

「私たちの任務はリルの処分、つまり抹殺もしくわ奪還だったわけ」

相反しているような二つの言葉を聞いてアイラは全てを理解した。パレルナは複雑な彼女の気持ちを汲み取ったつもりで同情する。

「私も最初はよくわからなかったの。でも、彼女の魔法が時間も司るということを聞いて少しだけ納得した。つまり、殺せないなら連れてこいってライブラは言ったってこと」

その説明を聞いて、内容は理解出来た。でも肝心のことが聞けていない。

「どうして、抹殺か奪還なんですか?」

「ああ、それね」話が拗れていく気がしたのか、スクルトが再び話に入り込んでくる。

「 君は話を聞いているはずだから深くは言わないけど、また少し状況が変わった、らしい。でもリルがここにいて死んでいないってことは、当分大丈夫。安心していいよ」

スクルトの口から出た言葉には妙な信憑性を感じて、安心してしまう。一度裏切られたのに、この感情はなんなんだろう。

抜けきった力が一気に眠気に変わり、アイラはゆっくりとまぶたを閉じた。


「…きろ。……。起きろ!」

スクルトが私の肩を揺すったことで私は目が覚めた。いつの間にかライブラまで着いていたらしく、リルとヒナももう既に目が覚めていた。

「ヒナ、今回は非常事態だから許すが、本来はここには入れない。それをよくよく理解してくれ」

「はーい」

元気よく返事はしているが、ちゃんと話を聞いているのかは分からない。リルとアイラは話があると言われ、ヒナとパレルナとは一旦お別れとなる。

「二人はライブラの家まで向かってくれ」

そう言われてスクルトもその場を後にし、リルとアイラ二人で家に向かう。

道中、私は色々な話をリルにした。途中までは頷いていたばかりだったが、私が氷像を見つけた時、氷像のある空間での出来事はリルには見えていたらしかった。

「それは僕も見てた。よく頑張ったね。あそこまで持ちこたえてなかったらきっとパレルナも合流出来ていなかっただろうから」

優しく私の頭を撫でる。久しぶりの師匠の手は暖かく、心が落ち着く。

そしてアイラにとっては複雑な感情を抱く場所、ライブラの長の家まで来た。ノックをすると、待っていたかのように二人を出迎える。

「やあやあ、やっと来たね。入って入って。今日はゆっくり話をしよう」

「…お久しぶりですユークスさん」

気まずさを感じながら彼の家へ入る。

ルイボスティーのような赤みがかったお茶が配膳され、茶菓子と共にテーブルに置かれる。ユークスはその中のクッキーを一枚食べて会議の決議が 話される。

「彼女には言ったと思うけど、リルには今一度言っておく必要がある。お前の魔法は再び禁忌指定になった。これが覆ることはもうない、最終決議だ」

それはリル自身も分かっているようだった。ただでさえ不安定な判断だったのに加えて、「時渡り」を使ったのが響いていた。

「大丈夫です。それは、覚悟の上でしたので」

緊張と不安で彼女の顔は曇っていた。こんな時に私は何をしてあげられるだろう。アイラは自分に出来ることをみつけようとする。でも見つけられない。

話は暗い方向へと進んでいくと思われたが、その予想は呆気なく覆る。

「で、十二宮で話し合った結果リルには魔導書の回収に務めてもらうことになった」

二人とも予想の斜め上の結果に言葉を失った。

「それって事実上の自由の身では?」

何とか空白になった頭を動かしてリルは言葉を紡ぐ。ユークスのそれは気にしちゃダメという見えない優しさがあった。

「とにかく、そういうことだから。十冊見つけるまでライブラに帰ってくるのは禁止。それを守るなら、どんな奴が仲間に付いていても気にしない。さ、帰った帰った」

それだけを伝えたかったんだと退出を促される。家を出る時にふとリルの顔を見ると、なにか吹っ切れたような爽やかな顔をしていた。

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