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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
悪魔の王様
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攻略

「どうしよう師匠、閉じ込められちゃったよ」

閉じ込められたこの町は鳥籠のように僕たちを閉じ込めた。そこに剣を突き刺していくような感じ。逃げ場が着々と失われていく。

まさに万事休すってやつだ。この人たちも操られてるだけかもしれないから無闇に手を出す訳にも行かないし。

「アイラは何か補助系の魔法を使えるのか?」

残念そうに彼女は表情を変えながら言う。

「ごめんなさい。補助系の魔法だと回復と効果付与しか出来ないです」

効果付与か。そんな珍しい魔法を持っているなんて。それならその魔法を思う存分使わせてもらおうかな。

「分かった、じゃあ効果付与で僕に状態異常強化みたいなのって付与できるかな?」

「それならおやすい御用です!効果付与、身体能力上昇」

素早く杖を取り出した彼女が詠唱すると、効果付与の魔法によって全身がみなぎる感触を覚える。初めての感覚にリルも驚いてはいるが、心は冷静だった。

「アイラは少し下がっててくれ。雷魔法、痺れ粉」

構えた杖の先から電気を帯びた粉が現れ、人々をしびれさせていく。彼らの動きを封じて二人は動き出す。魔法を食らっても彼らの目に生気は戻っておらず、この町を支配している犯人を探す足は早くなる。

「アイラ、ここは手分けして犯人を探した方が早そうだ。俺は北の方を探すから、アイラは南を頼んだ」

「わかりました。見つけたら知らせますね」

出来れば戦いは避けてくれと言おうと思ったが、彼女はもうその場を去ってしまっていた。

数軒の家を回るが、人っ子一人いないもぬけの殻だ。

相手の魔法の能力は精神操作系。何らかの方法で相手の体の操作権を乗っ取る魔法だ。

精神操作?

気づくのが一足遅かった。この相手は二人で相手にするのが正しい能力。一人で相手をしては潰されていくだけだ。

急いでアイラの姿を探すが、何処に行っても彼女と出会うことが出来ない。身体能力上昇の効果で足は早いが、見つからなければ意味が無い。

そうして何周も町を回ったところで気がつく。

この町は中心がくり抜かれた円形上に家々が並んでいる。ならば中心にあるものは何か。

「そこだったかっ!」

中心にそびえ立つ協会にリルは急いで向かう。協会の中には光があり、人がいることが伺える。その扉を開けるとそこにはアイラの後ろ姿があった。

「アイラ、こんな所にいたのか。犯人の能力はとても危険なんだ。だから二人組で行動した方がいいと思う」

アイラはリルに背を向けたまま振り返ることも無くそこに立ち尽くしている。もう既に遅かったのか。もう一度声をかける。

「アイラ?」

しかし反応がない。代わりに返事をするように、地下に続いている階段から靴音が聞こえてくる。

コツコツコツ。

そして一人の青年が彼女の隣に立った。

「その子はアイラと言うのか」

不敵な笑みを浮かべる青年が随分と大人びた口調で彼女を見て言う。

「お前は誰だ」

彼は足を止めることなくアイラに近づいていく。靴音が静かな教会を満たしていく。

「それ以上彼女に近づくな」

リルは彼に杖を向けていた。それ以上進むと敵対行為だという証だ。

「わかったよ」

手を挙げながら、降参したとでも言いたげに彼女から一歩引く。それでもヘラヘラとした口調で彼は悠々と話している。そして徐に自己紹介を彼からし始める。

「僕の名前はトウ。この協会の聖職者さ」


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