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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
海底2万マイルの旅

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灰燼に帰す

蜘蛛の吐いた糸に絡まり、兎は身動きが取れなくなる。その隙に、ヒナは道を通ってスクルトの方へ向かう。

兎は憤慨した様子で目の色が赤からさらに深みを増した深紅へと変貌する。

「なんか不味そうですけど」

魔法を行使していないのにも関わらず、兎達の魔力で空間が冷やされていく。

「すぐに終わらせないと不味いな」

パレルナは持っていた長い杖をコンコンと二回地面で鳴らす。

いつの間にか部屋全体に魔法陣が敷かれていた。

「アイラ、魔法を解除して逃げろ!」

言われた通りにノーガードを解除して廊下へと走る。パレルナも急いで杖と捕虜を連れて走る。

ちょうどパレルナが廊下まで着いた時だった。

赤く魔法陣が点滅して、光を放つ。ゆらゆらと煙のようなものが立ち上り、温度の上昇が目で見てとれた。

「灰燼に帰せ。糸炎魔法、煉獄の檻」

魔法陣からは糸が次々と溢れ出てくる。兎の一切を逃がすことなく地面に繋ぎ止める。そして糸が檻の形を紡ぎ、その中に全て放り込まれる。

次に檻の天井が開いた。糸だと言うのにその時の音はまるで鉄の檻を開く時のような音だった。

黒い丸の亜空間への扉のようなものが現れてそこから赤黒い何かが滴り落ちる。

それが落ちると兎は悲鳴を上げることなく溶けた。それは溶岩だった。

逃げ場のない兎は必死でその檻を壊そうと試みるが、檻は段々と隙間を埋めるように糸が張られていき、逃がすことを許さない。

そして溶岩がどんどんと垂れ落ち、ただものが溶ける音だけが響く。

全員死んでしまったのだろう。檻は解除され、糸が魔法陣の中へ戻っていく。

その跡には溶岩で溶けたクレーターが出来ているだけだった。

「さぁ、行こっか」

何気ない顔をして彼女はスクルトの元へ向かおうとする。でも私は彼女の変化に気づいていた。

「パレルナさん、あなたはここで休んでいてください」

すると素知らぬ顔をして彼女は答える。

「何言ってるの。私も行ったほうが戦力が増えるよ」

気づいていないのか、知らぬ振りをしているのか。今はどっちでも良かった。

「足を見て下さい。それじゃあスクルトさんの足でまといになりますよ」

困った顔をしてそれを取り繕うように苦笑いを浮かべる。

「まぁ、少しだけでも」

「ダメです」

それは私が許せない。怪我人にまでこの奪還作戦に手を貸してもらうなんてきっとリルも望んじゃいない。

「私はまだ魔法が使えるのでサポートに回ります。あなたはここで治療を受けていてください」

杖を取り出して魔法を唱える。

「治癒魔法、干天の慈雨」

白い雨が降る。それは彼女の心と体、魔力を癒す。

「いいですか、絶対に完治するまで来ちゃダメですよ」

そうダメ押しをして彼女は階段を上る。

「あんなにちっちゃい子に言われるなんて。最近多いなぁ。情けない」

そんな反省を言葉にして壁に寄りかかる。穏やかになる心に手を当てて。

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