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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
海底2万マイルの旅

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49/110

収監

玉座に座るボスらしき男は、グラスに注がれたワインを高らかに笑いながら飲む。

「魔法が使えるようになってから、まるで天国にいるかのようだ。何もしなくても裏通りにいるあの薄汚いハエはもう俺の支配下だ。これで一生楽に生きれるな、フハハハハハハ!」

静かに横を見ると、ホープがやりどころのない彼への苛立ちを拳を強く握りしめて我慢していた。その小さな空気の変化に気づいたのか天井を見ると、

「そこに誰かいるな。さっさと出てこい。じゃねえと、殺すぞ」

さっきとは打って変わってドスの効いた低い声で僕たちを脅す。しまったと思い、咄嗟にその場から立ち去ろうと試みたが時すでに遅し。

「テレパシー!」

彼の詠唱の直後、三人の体は脳からの命令に従うことが出来なくなる。それでもリルは何とか逃げる策を模索する。すぐに口が動くことに気づき、詠唱を開始する。

「時渡r」「黙れ!」

「........」

言い終わるより早く、彼の言葉が僕へと命令した。こうなっては例えリルですら為す術はなかった。

「上にいるヤツら連れてこい」

部下よって三人は玉座の前へと出される。さっきまで見えていなかった彼の顔が見えた。体は誰よりも大きく、顔に彫りの深いシワを刻んだ年の食った老人だった。それでもあの威厳と覇気を感じさせる辺りが、ボスたる所以だろう。

「なんだお前ら、何しに来た」

もっと厳しい言葉が向けられると思っていた矢先にしては優しい語りかけだった。しかしそれも最初の一言に限ることだ。彼によって口が塞がれているので何も返事をすることが出来ない。

「そうだった、お前ら俺のせいで喋れないんだったな。アハハハハハハハ!」

どうやらわざと聞いてきたらしい。三人を散々貶し笑うと、満足したらしく

「こいつら牢屋にぶち込んどけ」

そう言って僕達から関心の目を外すと、再び幹部らしき人達と今後のことについて話し出した。

三人は一階へと降ろされる。その一階のある一角にある和室へと三人は連れていかれ、部下のひとりが床の畳を一枚ひっくり返した。

するとそこには地下に続く階段が見えた。階段を降り廊下を進むと奥までずっと続く無数の牢屋が現れた。その廊下を進んでいき、不意にひとつの牢屋の中を見るとそこには今にも死にそうなろどに痩せこけた青年が横たわっているのが見えた。

「そいつはもう助からねえよ」

部下がもう役に立たないものだとでも言いたげにその青年を見て言う。この時リルの中には彼に対する怒りと共に、自分も彼のようになってしまうのではないかという恐怖が体を襲った。

三人は同じ牢屋に閉じ込められた。部下は僕たちがちゃんと牢屋にいることを確認すると階段を登って、畳で蓋をする音が聞こえる。その瞬間、光というものは完全に失われた。

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