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悪魔祓いの旅路録  作者: 日朝 柳
海底2万マイルの旅

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48/110

観察

「それじゃあホープこれから暫くよろしく頼むよ」

「よろしく。それじゃあ早速だが」

そこまで言ってから急にホープは指を立てて静かにするよう促した。

「誰か来る」

二人は店の奥まで誘導され、箱の中に入っているようマスターに言われる。

カランコロン。誰かが店に入ってきたようだ。

「おい、金を出せ」

一歩だす毎に地響きが起きる。

「いやぁ、急にこられましても。このお金が無いと我々が生活できませんので」

「逆らうんじゃねえよ」

「〜っ!わかりました、お金は渡します。ですのでどうかお見逃しを」

お金を渡したのか、フンッと鼻息を鳴らして男は店から出ていった。マスターはこちらまでやってきて箱を開けると額に汗が滲んで辛そうな顔で「もう、大丈夫です」ととりあえずの安全が確保されたと教えてくれた。

「ぜんっぜん大丈夫じゃねーよ!なんだあいつら。やっぱり俺は許せねえ」

怒りを口に出してホープは我慢ならない様子だ。直接の現場を見てはいないが、僕もその意見には賛成だった。急にやってきてあの始末じゃいずれみんな死んでしまう。

「大丈夫ですか、マスター」

「あれが日常茶飯事みたいなもんなんで。慣れてしまえばどうとでもなりますよ」

口では笑っているが、きっと内心は辛いに違いない。僕はアイラの方を見て同時に頷く。

「すぐにこの依頼は達成させてみせます。マスターとホープのためにも」

最初に二人が取り組んだことは道についてだった。

「この道、暗いな。裏路地の全体像を把握したいからとりあえず明るくするけど構わないかな」

無言でホープは頷く。

「分かった。アイラ、拘束魔法っていうのはどんなものでも拘束できるのか?」

「というと、例えばどんなものですか?」

「魔法、とか」

「やったことはありませんけどいけるんじゃないんですかね」

「それじゃあやってみようか」

リルは杖を取り出して魔法を唱える。雷が凝縮された光の玉が何個もできていく。それを杖を使って操りこの通路に散りばめていく。

「あとは頼んだ」

「わかりました。バインド!」

彼女の両手で握りしめられた杖から鎖が光の玉たまに向かって伸びていく。そしてリルは拘束が完了する瞬間に光の玉を炸裂させた。

通路一面に花火のような光で満ち溢れ表通りと大差ない明るさになった。するとさっきまで見えていなかった通路の奥が見え始め、三人は一番奥にある異様な建物に気がついた。

「あれは」

「多分あれがイヴァン家の屋敷だ」

「それじゃああそこに」

「あぁ」

場所は見つかった。もちろん三人はその屋敷に向かった。見た目は普通より少し大きな家という印象しかないが、異様な雰囲気が漏れ出ている感じがする。

「怪しさ満点ですね」

「隠しきれない禍々しさがある」

トントン。扉をノックするが返事はない。ここで相手が出てくるのを待つのも億劫なのでズカズカと扉を開けて乗り込んでいく。1階にある全ての部屋を調べたが、人ひとりすらいなかった。

「それじゃあ2階だな」

階段をできるだけ音を立てないように登る。それでも建付けが悪いせいでキィと音が出てしまう。

「どちらさんだ」

上から誰かの声が聞こえた。ここで見つかる訳には行かないのでリルは奥の手を使った。

「時渡り」

声で誰かがいることに気がつきこちらに向かって足音が近づくが、僕達の姿を見る前に時は完全停止した。

「危なかった」

2階には大きな部屋がひとつあるのみで、側近らしき人が6人と玉座に座る男が1人いた。この人たちから見つからずに僕達だけが彼らを見つける場所を探す。ここにはないと分かったので二人を運んで家から出た。

パチッ

時は正常に動き始める。

ホープは外にいるという事実に驚くが、状況が状況なので詳細に話したいところを噛み砕いて端的に説明する。完全に理解してない様子だが、それはもう仕方ない。

「見つからないように屋根裏に隠れることにした」

そう言って僕は全員に重力魔法をかける。反重力によって天井が床になった僕らは外に出てきた側近に見つかることを阻止できた。

そして天井に空いていた隙間からこっそり入り、彼らの様子を観察することになった。

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