探偵ごっこをしよう
「すごいよ!キラキラ光る石がいっぱいある!」
興奮するアイラが示す先には青紫に光る鉱石が壁一面に生えていた。その石をよく見ると、リルの知っているものだと分かった。
「これ、空気石だよ」
「なんですかそれ。聞いたこともないですけど」
「まぁ見ててよ」
そう言ってリルは落ちている小さなその石を拾うと、魔力をその石に込めた。
すると石から風船が膨らむように空気が溢れてくる。それはすっぽり彼女を覆うと、空中に浮いて行った。
「こうやって魔力を込めると、空に浮くことができるんだよ」
しばらくしてほどけるように空気の膜が剥がれてゆっくりと降下していく。地上に足が着き、彼女を見るとさっきまで興奮していたアイラの様子が変わっていた。何かを考えるように目が明日の空へ向いていた。
「どうした?」
「これを使ったらここから出られるんじゃないかと思ったんです。空気の泡に入っているなら、そのまま地上まで行くことが出来るんじゃないかなって」
そこまでリルは頭が回っていなかった。アイラの提案に納得し、もしかしたらこの状況を打破できるのかもしれないと思った。しかし、思い通りにいかないのが世の常だ。足音を立てずにリルの背後に回り込み、剣を首に当てる。
「そうはさせない」
っ!
その声がするまで二人は存在そのものに気づかなかった。視界に入っているにも関わらず、それを認識できなかったのだ。
「リルを離して!」
そう言ってアイラは杖を取り出す。剣を握る手に力がこもり、剣先が首に当たって血が滴っていく。
ポタッ。
「分かった、持って帰らないよ。だから僕のことを離してくれないか」
穏便に済ませたいリルはアイラにも戦って欲しくない。出来ればこれで解放してくれるのが1番いいのだが、
「そう言って離すやつがいるか」
もちろんその気は彼にないらしい。
「じゃあ力ずくで逃げるよ」
「やれるもんならやってみな」
フンっと鼻でリルを笑う。こんなことで向きにはならないが、癪には触ったので手加減はしないことにした。
「反重力」
軋むような音と共に彼の体が飛ばされていく、横にでは無く縦に。突然の異常に驚きながらも、着地をしっかりとこなした。
「何をした」
「魔法だよ。普通の魔法じゃないけどね」
「魔法使いなのか?」
「いいや、僕は祓魔師。悪魔祓いさ」
そういうと、さっきまで敵対的だった彼の目が変わった。
「なに?悪魔祓いなのか?」
「まぁ、そうだけど」
「お願いがある」
そう言って彼は急に頭を下げてきた(天井に彼はいるので頭の裏しか見えないが)。
「どうしたの急に。頭をあげてよ」
とりあえず重力魔法を解除する。天井から落ちてきた彼は綺麗な着地を遂げ、再びリルに頼み込んだ。
「お願いがある。俺の村にいる嘘つきを見つけてくれないか」




